第2話 告白
文化祭の後、
大好きだったけど、信じられなかった。こんな何も目立ったところもない平凡極まりない女子が、智紀みたいなキラキラした男子とつきあっていいの?他の女子たちから、何言われるかわかんないよ?大丈夫かな?
一緒に下校しながら、そんなことを
「どうしよう…」
「俺に聞くな。」
「だって、相手は智紀だよ?あの智紀だよ?」
「どの智紀か知らないけど、お前次第だろ。」
「佑はどう思う?私が智紀とつきあった方がいいと思う?」
佑は少しだけ黙った。
「智紀が好きなんだったらいいんじゃねえの。」
私の家の前まで来ると、佑は、コンと私の頭を一つ軽く叩いた。
「な、なんだよ、それぇ?」
「お幸せに。」
なんなのよ、最後のは?と思ったけれど、私はとにかくそれどころではなく、智紀とのことをどうするか悩んでいた。
結局、智紀とつきあうことにした。意外にも、周りの女子は、「おめでとう〜」とか「よかったね~」とか言ってくれた。中には本心じゃなかった子もいたんだろうな。でも、嬉しかった。
高3になった。
クラスは持ち上がりで、また智紀と一緒になった。佑も。
「何で特進コース行かなかったの?」
聞いてみる。
「めんどくさかったから。」
佑は、そう言うと、問題集を出して解き始めた。まあ、こいつなら、どこででも勉強はできそうだもんな。そう思った。
「
佑に話しかけている所に智紀がやってくる。
「私は、地元の国立かなぁ。」
うちの地元の国立大学は大してレベルは高くない。
「佑は、あの理工大だろ?」
「うん。」
「いいよなぁ。二人共頭良くて。」
「智紀は県外?」
「うん。県外ったって隣の県だけどな。」
「そっか。」
卒業してしまえば、三人それぞれに違う生活が待っていると思うと、なんだか寂しかった。
三人とも志望校に入学できて、
「な、うちで卒業パーティしようぜ。」
と、智紀が言ってきた。勿論参加した。「どっちでもいい」なんて言う、佑も無理矢理参加で。
パーティと言っても、智紀が用意してくれた軽食と、私が持ってったケーキを食べながら、文化祭や修学旅行の話をしたり、他の子たちの進学先なんかの情報を交換したりしただけだったんだけど。
途中、佑が時計を見て、
「ごめん、俺、帰るわ。ちょっと用事があるから。」
そう言って帰ってしまった。
残された私は考える。そう言えば、智紀と二人っきりって久しぶりかも。
「晶…」
急に智紀が彼氏に戻る。
「んっ…」
急なキスに気持ちが間に合わなくて焦る。
「晶…いいかな?」
「…。」
意味はわかっている。大学入試で合格するまで待ってもらっていたことだ。
「…うん。」
未知の事だった。怖かった。でも、
「晶、好きだよ。愛してるよ。一生大事にする。」
そう言われながらの、それ、は、不思議な夢みたいな気持ちだった…。
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