第4話
「誰しも、一番、大事なんは、自分の子供やけどな……」
シイちゃんが笑う。
「確かに、それはそうや。うちらは、娘しか育ててへんし、息子をもつ母親の気持ちになるのは難しいな。うちのムコ殿、男三人兄弟の長男やから、向こうのお義母さんは、娘の親の気持ちとか、わからんわな。うん、しゃあないわ。」
と、私も同意する。
「キミちゃん、うちのムコ殿かて、男二人の兄弟の長男や。男の子て、女の子とちごうて、親にあんまり話しせえへんみたいやし、向こうの親に、娘らがどう思てるとか、まして、私らが色々思てることなんか伝わらへんな。ところで、美香ちゃんのムコ殿の親御さんて、何してはるん?」
「お義父さんは会社員で、お義母さんは看護師さんやで。裕美ちゃんのムコ殿の親御さんは?」
「二人とも、会社員や。お義母さん、正社員やて。」
「正社員か……すごいなあ……シイちゃん、うちは、働いてきたいうても、パートやし、それも、子供にあわせて仕事えらんでたからなあ……おんなじ働くいうても、だいぶ違うわ。」
「キミちゃん、うちかて、最初は、ダンナとダンナの親に反対されて、美容師は辞めたんやから。それが、皮肉なことに、ダンナが転職ばっかりするもんで、うちも働くようになってしもたんやわ。今は自宅の一部を美容室にしてるけど、子供の小さい時は、ずいぶんお義母さんの世話になったわ。」
「シイちゃん、美香がいうには、ムコ殿、相当、さみしがりで、甘えたやねんて。子供がいいひんのやから、美香がフルタイムで働いてもええのに、パートなんやわ。おまけに、料理は手作りにこだわってはるみたいやで。レトルト、冷凍食品、食べあきたんやて。ムコ殿、お義母さんが看護師さんで、夜勤の時には、弟らにご飯たべさせて、風呂入れて、寝かしつけてたんやて。小学校の高学年くらいから、家のこと、してるんやわ。」
「うわあ……なんと健気なこと……」
「そんなん、聞いたら、胸がキューッとなってな……」
「キミちゃん、うちのムコ殿かて、話し聞いたら、似たようなもんやで。二言目には、向こうのお義母さん、うちの息子は何でもできるて言わはる。ただ、裕美は、結婚してから、ムコ殿は家のことはあんまりせんと、子供と同じくらい、手がかかるて、わろてるけどな。」
私達は、お互いに顔を見合わせて、ため息をついた。
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