2.由来

 僕と舞は鳥居をくぐって境内に入った。50㎡ぐらいの狭い境内だ。奥に小さな社がまつってあった。社の朱色と白色が早春の陽に輝いていた。境内には誰もいなかった。社の前に立って僕は舞に説明した。インターネットで調べた知識を披露しただけだが。


 「この蔵府ぞうふ神社は室町時代に創建されたんだけどね、戦国時代にたびたび戦火にあって、何度も木の鳥居が燃えてしまったんだ。その都度、地元の人が鳥居を新しく立て直していたらしいんだよ。それでね、そのうち、地元の人たちが『蔵府ぞうふ神社』ではなくて『焼かれた鳥居のある神社』と呼ぶようになって、それがさらに『焼き鳥居神社』になって・・いまでは『焼き鳥神社』と呼ばれるようになったんだ。・・・ほら、そこの説明板にもそう書いてあるだろ」


 社の横に『焼き鳥神社(蔵府ぞうふ神社)由来』と書かれた説明板があった。そこには、僕が舞に説明した内容が、もっと詳しく書かれていた。


 舞が説明板を読んで、眼を丸くした。


 「えーっ。ホントだ。翔太の言ったことが書いてある。翔太ってすごい! 物識りだね」

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