焼き鳥神社を知ってるかい?
永嶋良一
1.焼き鳥神社
始めて来た駅の改札口を出ると、鄙びた商店街が眼に入った。昔は賑やかだったんだろうが、いまはもう開いている店よりも閉まっている店の方が多い。やたらシャッターが眼についた。どのシャッターにも錆が浮いていた。
僕はゆっくりと歩きながら開いている店を眼で追った。商店街の入り口から両側に・・喫茶店、すし屋、焼き鳥屋、酒屋、肉屋、散髪屋、八百屋、雑貨屋、洋品店、果物屋があって、もうお
果物屋の向こうに赤い鳥居が見えてきた。目指す
「やあ、舞。待ったかい?」
「もう、翔太。遅いよぉ」
そう言って、舞はふくれっ
「それに、ここ、場所違ってるんじゃない? この神社、焼き鳥神社じゃないよ。鳥居のところには
僕は鳥居を見上げた。赤い鳥居に、あれは神社の表札とでもいうのだろうか、額縁のようなものが掛けてあって、額縁の中には確かに『正一位 蔵府神社』という文字が見えた。
僕はにっこり笑った。
「いや、ここでいいんだよ。ここは、
「へえ、そうなの。私、場所が違っているんじゃないかと思って、ひやひやしながら翔太を待ってたのよ。だけど、変な名前ね。焼き鳥神社なんて」
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