7.蔵府神社
次の瞬間、後ろでがたりと音がした。振り返ると店の中に20人ほどいたお客が全員立ち上がっていた。立ったままで黙って僕と舞を見つめている。僕と舞は大将と店の客たちに包囲されたような形になった。包囲の中で僕と舞だけがカウンターに座っている。
僕の顔から血の気が引いた。何だ、これは? 何かの冗談か?
大将の声がした。
「さっき、あんた、神社の境内でそこの姉ちゃんにこう言ってただろ。『
僕の背筋が凍った。冷たい汗が首筋から落ちて、背中を流れていくのが分かった。
そのとき、客たちが全員一歩前に歩み出た。僕と舞を取り囲む輪が急に小さくなった。それを見て、大将がカウンターの中から右手を出した。手には細身の包丁が握られていた。天井の蛍光灯の光を受けて、包丁の鋭い刃がきらりと光った。
舞の悲鳴が声が店内に響いた。
「キャー」
客たちが一斉に僕と舞に飛びかかった。
了
焼き鳥神社を知ってるかい? 永嶋良一 @azuki-takuan
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