第五話 思ったより…

記憶喪失にも色々あるが、この道は魔物がしょっちゅう出る。

それで生きているとなると、能力や戦い方は忘れてないんじゃないかと思う。

一部の記憶を残してそのほかをすべて忘れてしまうタイプだ。

保護した方が、戦えない僕よりは幾分も戦力になるし、クエストをこなすのに支障どころかプラスになるだろう。

出ていくお金は多くなるけど、まぁ、多分大丈夫…だと思いたい。

とりあえず、家に連れて行くのがいいだろう。

そのために、リラにそのことを話さなければならない。

僕は思い切って言ってみた。

「あ、あのさ。行く当てがないなら、僕の家に、来る?」

こういう誰かを誘うとか、そういうのに慣れていないせいであまりはっきりと喋れなかったが、ちゃんと伝わっているだろうか。

リラは僕の質問に対して、

「そうしてくれると、私も助かる。」

と、あっさり了承。どうやらちゃんと伝わっていたようで安心した。

僕がほっとしていると、リラの方から話しかけてきた。

「あなたの名前は、なんて言うの?」

そう聞かれて、自分が自己紹介もせずにいたことに気づいた。

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