第64話 嗜虐的尋問

「貴様がこの集団の頭で当たっているな?」

「だ、誰がそんな事言うものか!」

「そういうのは時間の無駄だ。頭であると仮定して私が一方的に尋問する」



 というか、喰魔グール人語を喋る事が出来たのか。人語を話せない場合の対処法は使わなくていいな。楽に出来そうだ。


 尋問の方法はどうでもいいとして……聞き出さなければならない事は三つぐらいか。

 まず、拠点。これは確定で聞き出さないといけないが、最初に聞くのは悪手だろう。重要度が低いものから徐々に崩していった方がいいな。

 二つ目は喰魔グールの王に値する存在がいるかどうか。もし、いた場合は……迷うが、殺すか。私が魔王を名乗る上で必要なのは、領土と住民や法は勿論の事、魔王としての格が在らなければならない。喰魔グールの住処にて全てを手に入れればいいなとは思っている。

 三つ目が喰魔グールに転生する方法。これに関しては期待していない。どうせ知らないだろう。

 以上の三つだが、下から順に聞いていく。


 はぁ、面倒だが尋問を開s……お?名案が浮かんだ。これを私が食べる事自体が尋問になるんじゃないか?


 よし、直ぐに実行に移そう。



「今から尋問を開始する。貴様に拒否権はない。素直に答えるんだな」

「グッ……ぅ」

喰魔グールへの転生方法を知っているか?」

「……は?」



 基本的に喰魔グールは人間と同じだ。変異点を挙げるならば、右目の結膜が黒く、瞳孔が血のように赤いのが特徴的だ。


 そうだな、質問に答えていないから指を一本引き千切って食べようか。


 ミシミシと音立て指の根本から折る。呻き声が悲鳴へと変貌する。

 そして、手に持った指を手羽先を食べる要領でしゃぶり、噛み千切る。うん、美味いな。人の味とは違うんだな。そして、何故かグミの食感だ。



「んで、私が聞いている事に答えろよ、食糧グール

「だ、誰が言うか、化け物!《螺熱槍砲クロスファイヤー》!!」

「よっ、と」



 炎が渦巻いた槍が至近距離で放たれるが、スキルを使われるのが分かっており、それにそのスキルが一点直行型のスキルだった為、体を傾けて躱す。

 躱した時の反動を味方につけて、喰魔グールの顔にラウンドキックを放つ。いい感じに決まった為、鼻血を撒き散らしながら、地に伏している。

 序でに避ける時に今食べている指を焼いた。うん、焼いたバージョンも良い。そのまま丸呑みし、次の部位を決める。



「今のは反抗行為と見做す。よって、首の肉を削ぐ。ああ、少しだけ貴様に食わせてやる。《食事再生》?させてやらねば、喋れないだろうからな」

「や、やめーーッッッ!!!」

「くははは!!!苦しめ、そして、答えろ。貴様に出来るのはそれだけだ」



*****


 ああ、美味かった。甘美甘美。

 情報も掴めた。


 拷問した喰魔グールは生かして、喰魔グールの王国ーー『蝕皇国 アヴァラベルハ』への案内役として活用。吉報かどうかわからないが、この喰魔グールは『第八侵掠団』という組織の団長らしい。

 それと皇国という名称からわかる様に、『蝕皇』と呼ばれる指導者が存在しているという。これで蝕皇とは対立する事は決定付けられた。

 国民の数も多く、三万を軽く超えるそうだ。そして、殆どが戦闘出来るという。それに聞いた話では十体ほどLVが85を超えているという。

 なかなかにハードだ。ザッハークがどこまで強くなるかが鍵だな。


 ああそうだ。予想していた通り、転生方法はわからずじまいだった。これに関してはな、蝕皇が知っていると思うが、どうなるか。


 ふん、今日はここでログアウトするとして、暇潰しに何をするか。



「おーい!リズさん!!ちょっとばかり来てくれねェか?」



 ザッハークが手をブンブン振り回しながら、呼び掛けてくる。

 ……今日のところはあいつで我慢をするか。少し傲慢だが、私はザッハークの主。少しばかり威厳がないと締まるものも締まらないと言えよう。



「ああ、いいだろう」


「……いや、何故にそんな上からなんだよ」



 ザッハークには不評らしいな。

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