第22話 子供たち

「《召喚:【狂気の落とし子ヒトモドキ】》」



 私の目の前に肉でできた高さ2mぐらいの門が現れた。

 そして、門の扉が開くと1mと少しぐらいの身長の子供が14人現れた。


 だが、その子供たち、【狂気の落とし子ヒトモドキ】たちは正常な幼子の形をしていなかった。

 まず、顔に穴がないのだ。眼窩や鼻孔、口に毛穴、耳孔がない。肉が瘤のように膨れ上がっている。もちろん、顔だけではなく、体全体が変形していた。


 彼らは二足歩行できないらしく、ハイハイしながら私に向かってきた。

 一般的な子供である事かつ一般的な感性を持つ人間ならば、『わあ、かわいい』になるだろうが、ここに居るのは、異形の子と異常な私だ。

 正しい感性を持つのならば、悲鳴を上げる所だが、私にはあまり恐怖は感じられなかった。さりとて、かわいいとも思わないが。


 14体の【狂気の落とし子ヒトモドキ】が横一列に並んだ。


 彼らは喋ることはできないが、私からの命令は忠実に聞いてくれる。

 さらに、私たちと同じようにLV.を上昇させれるのだ。

 ターメディザル大砂漠では三体一組でレベリングに行かせた。

 当初は18体だったが、四体がハゲワシ型のモンスター、バンバイガルに殺された為、14体になった。

 一番高い子はLV.34だ。


 スキルは3つとそれぞれ特有のスキル2つ持っている。

 常時HPと欠損を回復させる《再生》。

 体というより筋肉を肥大化させるスキル《肉膨張》。

 1分ごとに30%の確率で《状態異常:狂気I》と《状態異常:恐怖I》を付与する《狂気の産物》。

 実にホラーしている。

 


「ということで、三体一組で生物を殲滅しろ。《祈り》持ちと《サクリファイス》持ちは私に付いて来い。では、行け」

『『『『『ヾ(´▽`*)ゝ』』』』』



 私の言葉を聞き終えると、12体がハイハイで森の中に消えていった。


 《祈り》持ち、長いな。名前でも付けておくか。

 《祈り》の方が、ブレス。《サクリファイス》は、ファイス。

 安直でもいいや。


 《祈り》の効果は対象のHPとMP、SPを30秒間回復(微小)してくれるものだ。

 貴重なヒーラーだ。

 《サクリファイス》は対象に与えられたダメージを代わりに受けるものだ。

 こちらも貴重なタンクだ。


「では、私たちも行こうか。ブレスにファイス」

『『(・Д・*)』』

「ああ、お前たちの名前だ。覚えておけよ、私の付けた名前なのだからな」

『『 (v´∀`)ハ(´∀`v)』』

「気に入ってくれたことでいいのか?まあ、行くぞ」

『『(>◇<)〇!』』



*****



「嫌だァァ!!」

「まだ死にたくない!」

「助けてェ~!ママン」

「お前、そんな年頃じゃねえだろぉ!」

「うっs、グワッァハァラア!!!」

「お前の方がうる、アがギョルごアアああッッっう!!!」

「......いや、貴様の方がうるさいだろう」



 阿鼻叫喚だな。

 私が悪いのだが、あまりにも醜すぎるな。


 戦闘音が聞こえた為、向かうと、5人ぐらいで戦闘をしていた。

 《空間浮遊》で空中から乱入すると、彼らの顔が青ざめ、体の動きが格段に鈍った。まるで、トラウマを思い出したように。

 そこからは蹂躙だった。


 一つ彼らに聞きたいことがある。

 痛覚設定が100%じゃないのだから、そんなに声上げる痛みでもないのに、ギャンギャン鳴くのか。

 私は50%にしているが、これも警告文が出るくらいだ。わざわざ100%にするのは、阿呆かM系の変態ぐらいだろう。

 基本が25%だったと思う。


 今まで襲った連中も大声で泣いていたしな。

 現実で痛みに慣れていないのだろう。

 私もあの日より前は慣れていなかったからな。


 私の殺し方も悪いのだろうか?

 私からすれば、残酷な殺し方はしてないのだがな。

 一番酷い殺し方は、紫煙呪縛で動きを鈍くしてから、踏み潰す傲アース・オブ・慢なる一歩ナッシングネスで10人ぐらいを纏めて殺したぐらいだが。

 まだ、大したことはないな。


 まあ、いいや。

 最後の一人の胸に幸福に煌めく王の肉叉フェリスを突き立て、一回転させてから引っこ抜く。

 これでオールクリアだ。



「ブレス、《祈り》を」

『( ゜Д゜)ゞ』



 ブレスの体という名の肉が白く輝き、私に白い鱗粉が掛かる。

 徐々にHPなどが回復している。



「ありがと」

『ヽ(⌒▽⌒)ゞ』

「それはそうと、他の【狂気の落とし子ヒトモドキ】は残り7体だけか。減ったな」

『『|•́ㅿ•̀ )』』

「それでもって、残りプレイヤー人数が1000人か。開始時刻からまだ3時間。早いな」

『『(*゜∀゜)*。_。)』』

「やはり、あれらか」

『『(・д・ = ・д・)』』



 私が向いた先の一つでは、風で人が舞い上がり、小さな雷や霰が降り、虹の光線が放たれていた。

 私が行こうとしている中央部付近の光景である。


 魔術師とは戦った事はないが、まあ、行けるだろう。

 別に、私は優勝を目指しているわけではないのだからな。



「ブレスにファイス、私に捕まれ」

『『(☆`・ω・)ゞ』』

「では、行こうか。あの戦場へ。《空間浮遊》」

『『 o(・`д・´。)』』

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