第3話 GAME START 後編

「では、皆様のお好きなステータスを決めてもらいます」

「みんなが好きかはわかりませんが、楽しみですね。どういった項目があるのですか?」

「はい、この世界ゲームでは、ステータスはこのように表されます」



 私の目の前に様々なことが書かれたウィンドウが出てきた。


**********

【剣士の卵】ニワトリ

種族:人族ヒューマンLV.5

属性:無

役職:1st.剣士ソードマンLV.3

   2nd.ルースターLV.4

   3rd.無職ニートLV.2

合計成長値 STR×1.3 VIT×1.2 AGI×1.4 DEX×1.1 LUK×1.8


基礎値

HP:100 

MP:88

SP:96

STR:26(+12+2)

VIT:24(+9+4)

AGI:26(+16+2)

INT:22

MIN:22

DEX:22(+2)

LUK:29(+36+7)


アクティブスキル

《スラッシュ》 《早朝の叫び》 《コケッコーダンシング》


パッシブスキル

《朝男》 《剣の心得I》 《ニートの底力》 《斬撃強化I》


称号

【剣士の卵】 【早朝番長コケコッコー


装備 頭:雄鶏のマスク(LUK+7) 胴:初心剣士衣(VIT+2) 脚:初心剣士衣(VIT+2)

   右手:初心の長剣(STR+2) 左手:なし 足:初心剣士靴(AGI+2) 装飾品:なし

**********


 長いし、突っ込みどころ満点なんだが。

 まぁ、基本的なところは他のゲームと変わらないはずだ。

 念のためマリスに聞いておこうか。



「マリスさん、質問してもいいですか?」

「いいですよ、ワタシ達はそのためにいるのですから」

「では、全体的に教えていただけませんか?」

「わかりました。

 では、説明いたします。

 名前の横についている【】には称号を置くことができます。それによって、プレイヤーやダムズに自分の名前とともに称号を見せることができます。言っちゃえば、自尊心を得させることで依存させようとしている最上位神U・N・E・Iの無数にある策略の一つですね」



 うわぁ、U・N・E・Iは腹黒いなぁ。

 そして、無数にあるのか。システム関連だろうか。

 そういえば、ダムズってなんだ?聞いてみよう。



「ダムズって何ですか?」

「貴女がたがよく言うNPCのこの世界ゲームでの名前です。彼らもこの世界ゲームでは生きているので生物として扱ってください。お願いします。悪意神がこんなこと言うのはおかしいですが。ですが、貴女は関係なく喰らうのでしょうが」



 マリスの顔が一瞬怒りの色に染まったかと思うと慈愛溢れる母の様な顔に変わり、最後には困った子供に苦笑した様な顔へと百面相している。

 マリスの人間味のある顔に言動に私は見惚れてしまっていた。

 現実の人間でもこれほど美しい表情はできないだろう。

 私は初めて目の前にいるマリスをAIではなく生物、いやダムズとして認識した。

 そして、改めて私は想った。

 【嗚呼、この世界ならば私の欲を夢を叶えてくれるはずに違いない】、と。

 ついでにわかったことがある。人を食べたいのバレてるのだが。

 まぁ、名前でもバレてたから今更だろうが。

 いっそのこと本性を出すのもありだな。そうしよう。



「くはぁ、バレていたか。流石、悪意神といったところか」

「それが貴女の本性ですか。雰囲気がガラッと変わりましたね」

「あぁ、バレたなら隠す必要もないからな。それにマリスも同じようなものだろう。あぁ、そうだ。マリスが安心していいことかわからないが私は美食家でな」

「それがどうかしたのですか?」

「ああ、私は自らが生きていたと事前に認識したものにおいしさを感じるんだ。だから、この世界ゲームに留まっていたならば私が生命として認めたと思っていいぞ。では、話せ。私は早く人を食べたいんだ。」 

「理由が不純ですが、リズ様が満足していただけるようにワタシも頑張りますね。

 では、説明に移ります」



 マリスはクスクスと柔らかい笑みを浮かべていた。

 リズ様、ね。マリスも私のことを認めたのだろうか。

 そう思った途端に、背中がむず痒くなった。

 何年かぶりの子供の様な純粋な喜びに感慨深くなった。

 私が狂ってしまう前の記憶を思い出しながら。


*****


 ......ということです。理解できましたか?」

「相変わらず長いな。まぁいい、ゆっくり思い出しながらステータス設定でもするからな」



 最初に決めるのがステータス振り割りか。

 この世界ゲームではSTPというステータスを割り振るためのポイントがあり、最初に100持っている。それを今、振り切らなければならない。 

 ここでステータスの説明をしようか。


 HP:生命値(自分の生命力を数値化したもの。これが尽きると《状態異常:死亡》になる)

 MP:魔力値(自分の魔力量を数値化したもの。これが尽きると《状態異常:魔力欠乏》になる)

 SP:体力値(自分の体力量を数値化したもの。これが尽きると《状態異常:体力欠乏》になる)

 STR:筋力値(自身が与える物理ダメージ量などに影響する。インベントリの容量が増える)

 VIT:防御値(自身が受ける物理ダメージ量などに影響する。装備などの耐久度が減りにくくなる)

 AGI:敏速値(自身の行動の速さなどに影響する。集中や感覚過敏により体感時間が長く感じる、ゾーンに入りやすくなる)

 INT:知力値(自身が与える特殊ダメージ量などに影響する。理解度や解析度が早くなる)

 MIN:精神値(自身が受ける特殊ダメージ量などに影響する。疲労度や満腹度が減りにくくなる)

 DEX:器用値(自身の体や物、スキルの効果、精度などに対して影響する)

 LUK:幸運値(ドロップアイテムやクエストなどに影響する)


 物理ダメージは通常攻撃や戦技?と呼ばれるものが出すものだという。

 特殊ダメージとは魔法攻撃や状態異常攻撃のものなどが出すダメージを指す。

 他の○○度や状態異常に関しては後々話していこう。

 

 スキルの説明に入ろうか。

 スキルは大きく分けて2種類ある。

 アクティブスキル、自発型スキル。戦技や魔術などがここに当たる。

 パッシップスキル、常時発動型スキル。自己強化系や○○耐性、○○脆弱が入る。

 最初に選択できるスキルは5つであり、バランスの良いスキルの選択が求められる。


 最後に役職だ。

 この世界ゲームでは3つの役職に就ける。

 役職にも種類がある。

 異世界職、ファンタジー作品によくある役職の括りだ。主に、剣士などだ。

 現代職、現代に存在する役職の括り。職業と言っていいのかわからないが、無職などだ。

 特殊職、この世界ゲーム特有の役職の括りだそうだ。よくわからないが、鶏などだ。

 私的には、食人行為がよりよくできる役職がいいな。あると思えないが。

 役職にはそれぞれ成長値があり、振ったSTPを上昇させることができる。

 合計成長値は1+(成長値の小数点+成長値の小数点.......)で求められる。


*****


 その後、私は決めることを全て終えこの空間から出ることになった。



「リズ様、貴女の欲望が満たされることを天から見守っております。楽しかったです」

「私もだ。マリスじゃなかったら愉しめなかったと思うぞ。また、会おう」

「はい!また会いましょう」



 そんなにニコニコしていたら、悪意神とはいえないだろ。と、苦笑しながら目の前が真っ暗に染まり原初の街オリアへと転移した。

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