唐辛子入りケーキ

 富豪の娘は、優しい庶民の娘をばかにしていた。

 富豪の娘の誕生日パーティーに、庶民の娘が来た。

 富豪の娘は、庶民の娘のケーキに大量の唐辛子を混ぜた。


 晩餐会で、庶民の娘がケーキを口にしたとき。あまりの辛さに庶民の娘は苦しみ、ドラゴンのように口から炎を吐き出した。

 普段の優しい性格からは考えられない彼女の行動に、周りにいた人びとは驚き、誰もが振り向いた。

 それを見た富豪の娘は、庶民の娘に恥をかかせられたと喜んだ。


 ところが、炎の矛先は巨大なバースデーケーキにも向けられた。

 富豪の娘は驚いて、とっさに目を伏せた。

 自分のバースデーケーキが全部黒焦げになっていると思うと、彼女は目を開けられなかった。


 意外なことに、周りの人びとが歓声を上げるので、富豪の娘は恐る恐る目を開く。


 バースデーケーキを見上げたとき、刺さっているろうそくすべてに火が灯っていた。



おわり

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