第2話

ゆいにゃんが転校してきてから3か月が

経った。初めの頃のゆいにゃんは父親関係で不安定な時期もあったが今は友達もできて楽しそうな毎日を送っているように見えた。


「ねぇ、まー君。私また、まー君の家に

遊びにいきたいな!また、ゲームしようよ」


あの一件から距離が縮まり私、桐生院正輝は

まー君と呼ばれるようになった。


「そんなあだ名で呼ぶな!それにあの時は

お前が勝手にきたんだろう。私は招いて

いない」


ちょっと、まー君は恥ずかしいからやめて

欲しいかなぁ、あといきなり来られると

準備もあるから前もっていってほしかなぁ


という内容が変換され言葉になる。


「えーでも、一緒にゲームしたじゃん!

それに桐生院君のお家広いし探検しようよ」


「………俺が自分の家を探検?それはただ

ウロチョロしてるだけじゃないか?」



確かに家は裕福でかなり広いが探検する程

ではないだろう。

そう考えていると迎えの車が来た。

俺が乗るとさも当たり前のようにゆいにゃん

も乗ったのだった。


「またお前は…はぁ」


俺はため息を吐くがゆいにゃんは気にせず

話しかけてくる


「ねぇ、まー君明日の遠足は楽しみだねー

私東京に来てそんなに経ってないから

凄く楽しみだよ!」


ゆいにゃんは足をぶらつかせながら

笑みを浮かべる。


明日は3年生全員の遠足になっている

ただ山にいくだけだが、やはり遠出は

興奮する。


「ふん。たかが遠足だろう。あぁそうだ、

高木さん。近くの駄菓子屋に寄ってくれ。

明日の遠足に持っていく菓子を買いたい」


高木さんはいつも送り迎えをしてくれる

桐生院グループお抱えの運転手さんだ。

高木さんは了解とだけいう。


ゆいにゃんは不思議そうに俺を見る


「なんでわざわざ駄菓子屋に?まー君家の

料理人の人に用意して貰えばいいんじゃない?」


「ふん。いつも食べているではないか。

それに遠足に行って食べるものでもない

だろう。お前は駄菓子屋に行ったことは

あるか?」


ゆいにゃんはふるふると首を振る


「なら、丁度いい。お前にも味合わせて

やろう、何故俺が駄菓子屋にいくのかをな。」



その後、運転手に連れられて2人は

ひまわりという駄菓子屋に入った。

優しいおばちゃんが優しくいらっしゃいと

迎えてくれる。


「ふぇ〜凄く安いね!」


ゆいにゃんは初めて来た駄菓子屋に

興味深々で辺りをうろついている。


分かるよ、その気持ち。

初めての駄菓子屋ってワクワクするよね!

俺も前世の子供の頃はよく駄菓子屋に

行ったよなぁ。水風船買って投げ合いしたり

当たりでるまでお菓子買ったりしたなぁ。


桐生院正輝は前世の頃を思い出して

少し笑った。


「ねぇ、まー君、お菓子どれ買う?

私これにするよ!」


そう言ってゆいにゃんが選んだのは

カップ麺だった。


「……………お前、それ遠足で食べる気か?」


「うん、そうだよー!駄目かな?」


駄目ではないが、遠足でカップ麺は

女児が食うもんではない。


「それはカップ麺だ。お湯が無いと食べれ

ないぞ。違うのにしておけ。」


一瞬、遠足にてお湯がなくカップ麺が

作れない姿を想像して面白いからいいかな

と考えたがゆいにゃんが可哀想なので

素直に助言してあげた。


「分かったー!ならこの、うんまい棒にしよっと。

え、これ10円って安すぎない?とりあえず、千本買っとこうかな。」


「業者か、お前は。自分の食べれる分だけ買え。」


 ゆいにゃんにツッコミながら自分の分のお菓子を選んでいく。


(あげやなぎぃ、チョコバットゥ、キャラメル、ネルネルネルネェ、シゲキックスゥにしとくか。この世界でも駄菓子は同じなんだなぁ。)


 自分の分を選び終えてゆいにゃんの方に向かう。


「古賀ゆいか、選び終えたか?」


「あっまー君、私はコーラとピザポティトとポテチに決めたよ」


 カロリー高めのチョイスに思わず顔を顰めてしまう。


「…デブかお前は?まぁいい、お前の分も適当に選んで買っておいてやる。流石にスーパーでも売ってるような物を食べてそれが駄菓子屋だと思って欲しくないからな」


「えへへっ、ありがとまー君」


 満足気な表情を浮かべるゆいにゃん。


 その後、会計を済ませて桐生院家で今日買った駄菓子の試食会を行なった。


「凄い、どれも美味しい!特にこのブラックサンダーがめちゃくちゃ好き」


 桐生院が選んだ駄菓子はどれも好評で特にブラックサンダーがお気に入りだった。


(分かるよ、ブラックサンダーって見た目の三倍美味しく感じるよね。どれも好評で良かったよ)


 「俺が駄菓子屋に訪れた理由が分かったな?誰でも手にとれる値段で食べれるお菓子も悪くないだろう?」


 ゆいにゃんは食べながら桐生院に答える。


「うんっ!すっごく美味しかった。今日はありがとう!」


「納得したならいい。そう言えばお前は結局何を買ったんだ?」


 ゆいにゃんは自分で買った遠足のおやつの袋の中を見せてくれた。


「お前、これは……⁈」


 中に入っていたものは…


「うん!カップ麺だよ。悩みすぎてフィーリングで選んじゃったよ。」


「……お湯を忘れずにな?」


 一応彼女の為にお湯を持って行くか検討するのだった。



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エロゲー転生に感激して推し感覚でヒロイン達と関わってたら主人公からNTRしてしまい申し訳ありませんでしたっ‼︎ まさこりん @masakorin

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