第18話

エピソード18 ___ 焼肉食べる


「いらっしゃいませ!!!何名様ですか?」

若い女性の店員が俺たちにそう聞いてくる。


「2人です」

俺はそう言いながら人差し指と中指を立てて手でも人数を店員に示した。


「2名様ですね……、お席までご案内します!!」

店員は俺と梨花を空いている席まで案内する。


店内はまあまあ人が入っていた。

いかにも冒険者みたいな人もいた。

武器を持ち込んでいる人もいた。

おい、武器は持ってくんなよ!

まあ、この焼肉屋はそこらへんの理解があるんだろう。

ダンジョンの近くにある店だしな。

ただ武器を持っているガタイのいい人にビビって店内に入れてしまっただけかもしれないが………。


「こちらのお席をお使いください!!ご注文はそちらのタッチパネルでご注文してください!!」

そう言って、店員は俺たちの元から去った。


「じゃあ、メニューを見ようか」


「うん!」

俺と梨花はメニューを見て適当に肉と飲み物を頼んだ。



「じゃあ、10階層攻略を祝いまして、乾杯!!」

「乾杯!!」

俺と梨花はお互いが持っているジュースが入ったグラスをぶつけた。


俺と梨花は酒を飲まない。


俺は酒を飲んだことがない。


ここで思考実験をしてみよう。

日本にはお酒を飲む人がいなかったとして、その日本にお酒が解禁されるかを考えてみる。


お酒を飲むと人格変わるらしよ(陽気になったり、情緒が不安定になることがある)、飲酒運転によってけっこう交通事故が起こってるらしよ、お酒を飲みすぎで死んでしまうこともあるらしいよ、アルコール中毒になってしまう人もいるらしいよ、などというようなお酒に対して否定的な声が出てくると考えられる。


こうして考えてみると日本にはお酒を飲む人がいなかったと仮定した時にお酒は日本では解禁されないだろう。

だから、俺はお酒を飲まない。


ただし、実際は古来から日本ではお酒を飲まれていて、宗教の儀式にはお酒は使われることがあるし、お酒を飲むというのは文化として日本に根付いている。

なので、日本でお酒を飲まれることは理解可能だし、お酒を飲むことを批判するわけではない。


俺はお酒を飲まないだけで、お酒を飲まないようにと他人にまで強要するわけではない。

もちろん、他人に迷惑をかけるほどお酒を飲んでしまうのは問題だと思うが……。



「おいしいね、悠真!」

俺がそんなことを考えているうちに肉が焼けたようだ。


俺も焼けた肉を食べてみる。

「うまい!!この店の肉うまいな〜」

それから俺と梨花は楽しく話しながら肉を食べた。



「それにしても驚いたよ!!悠真が『トップヒルズ』に住んでいるなんて!!あそこめっちゃ家賃が高いで有名じゃん。よく悠真は家賃が払えるね。悠真、実はお金持ち?」

そう梨花が俺に聞いてきた。


「まあ、最近お金持ちになった感じかな。実は………」

俺は『トップヒルズ』に住むような経緯を梨花に教えた。


「そうなんだ。家賃を払っているんじゃなくて、部屋をひとつもらっちゃたんだ。すごいね〜。私なら、初めの時点で土地をすぐに売っちゃうな。お金に困ってたし。」


「まあ、たまたまあの土地を持っていてよかったよ。『トップヒルズ』の部屋ももらえたしね。ただ、もらった部屋が大きすぎるんだよな。一人暮らしをしている俺には広すぎるよ。使ってない部屋あるし、掃除は大変だし、正直にいうと使っていない部屋は掃除していない。ほこりがけっこう溜まってるかもしれない。」


「へぇ〜………。ねえ、悠真。ずうずうしいことはわかっているんだけど、一つお願いしていい?」


「うん?、なに、梨花?」


「悠真の部屋に住まわせて!!私は今、ダンジョンから少し離れているところに住んでいるんだけど、そこからダンジョンに行くのは少し大変なの。もちろん、ただで住まわせてもらおうとは思ってないよ。私が家事をするよ!!だから、悠真の部屋に住まわせて!お願い!!」


「え〜〜!!!う〜〜ん、梨花、男と同棲するのは危険だと思わないの?」


「たくさん一緒に悠真とダンジョンを潜り、悠真のことは少しはわかっているつもり!!悠真なら信用できる!!………それに悠真ならそういう関係になってもいいし……」


「えっ、それってどういう「とにかく!!、悠真、私を部屋に住まわせてよ!そうすればダンジョンに行ける回数も増えると思うから!!」」


う〜ん、話を逸らされてしまった。


「わかったよ、いいよ。でも、俺の部屋には2人分の家具がないからどうする?」


「やった〜!!家具は明日とか買いに行こかない?今日のところは今住んでいるところに帰るよ。あと、部屋早めに部屋に行かせて。部屋の大きさとかわからないと必要な家具がわからないから」


「明日か〜…、うん、大丈夫だよ。じゃあ、明日、『トップヒルズ』集合にしよう。集合してからは俺の車で家具屋などを見て回ろう。」


「うん、いいね!!じゃあ、明日、『トップヒルズ』で待ち合わせね!着いたら悠真に連絡するよ!」


俺と梨花は同棲することになった。

彼女いない歴=年齢の俺には同棲は少し荷が重い気がするが可愛い女の子と同棲できるなんてうれしいぜ!

まあ、暴走しないように気をつけないとな。


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