第12話
エピソード12 ___ 紅の誓い、20階層攻略目指す
「おいしい!!悠真もこの焼けた肉を食べなよ」
そう言って梨花は俺の皿に焼けた肉を入れてくれた。
「うん、おいしい!」
うまい!焼肉うめぇ〜〜〜!!
焼肉は久しぶりに食べたので余計に美味しく感じる。
俺と梨花はダンジョン探索の打ち上げとして、焼肉屋に来ている。
まあ、そんなに高くない庶民向けの焼肉屋で打ち上げをしている。
「今日の探索上手くいったね!!これなら、もっと上の階層でも大丈夫そうだね!」
「確かに、もっと上の階層でも十分俺たちは通用すると思うけど、慎重にいこう。」
「うん、明日はとりあえず6階層まで目指さない?」
6階層か…………。
まあ、俺と梨花の実力なら大丈夫かな。
「そうだね、明日は6階層まで目指そうか」
俺と梨花が話している時、テレビからダンジョンの話題が聞こえてきた。
「とうとう、この日が来ました。今日から冒険者チーム『紅の誓い』さんが20階層攻略に向けてダンジョンに挑みます。マサカズさん、今の心境を教えてください」
テレビで女子タレントが『紅の誓い』のマサカズにインタビューしていた。
「あっ、紅の誓いが20階層攻略に向かうのって今日からなんだ。」
どうやら、梨花は『紅の誓い』を知っていたようだ。
まあ、当たり前か。
テレビで何度も取り上げられている冒険者チームだからな。
他のチームもテレビに出ているが、メディアへの露出は圧倒的に『紅の誓い』が多い。
まあ、『紅の誓い』は美男美女で構成されているからテレビに引っ張りだこなのだろう。
くそ、うらやましいぜ、マサカズ。
まあ、『紅の誓い』のおかげで冒険者という職業が世間の人たちに認知されて、冒険者の社会的地位が向上しているので感謝するところもある。
「僕たち、『紅の誓い』この日のためにしっかりと準備しました。僕は確信しています、このチームなら必ず20階層を攻略できると。なあ、みんな!!!!」
「うん、私たちならきっと攻略できるよ!!!」
「そうよ、私たちならできる!!」
「ありがとうございます。では、『紅の誓い』さん頑張ってください。現場からは以上です。」
『紅の誓い』のインタビューが終わり、テレビの画面がテレビのスタジオに変わった。
「悠真は『紅の誓い』が20階層攻略できると思う?」
梨花が俺に聞いてきた。
「う〜〜ん、どうだろう?『紅の誓い』の実力も20階層のボスモンスターの強さもわからないから、何とも言えないかな」
前世では誰が20階層攻略していたかな?あんまり覚えてないな。
「まあ、そうだよね。20階層のボスモンスターはどれくらい強いのかな〜?」
自衛隊はボス部屋の前で撤退している。
そのため、ボスモンスターの姿をまだ誰も見ていない。
う〜ん、思い出せないな。あんまり、モンスターに興味なかったからな。
「まあ、『紅の誓い』には20階層を攻略してほしいよ。20階層以降のダンジョンの情報を知りたいし」
「そうだよね!!ダンジョンって何階層まであるんだろうね!!」
俺と梨花はそれから話をしながら、肉を食べ終わり、打ち上げを解散した。
次の日、俺と梨花はダンジョンに潜るためにダンジョンの入り口の前にいた。
ダンジョンの入り口の近くにテレビの撮影をしている人たちがいた。
「昨日、『紅の誓い』が20階層を攻略するためにダンジョンに挑みました。未だに20階層を攻略した冒険者はいません。果たして、『紅の誓い』は20階層攻略という偉業を達成できるのでしょうか?冒険者の皆さんにこのことをインタビューしていこうと思います」
テレビのタレントがマイクを持ちながらこっちに近づいてくる。
嫌な予感がする。
「あの〜、すいません。冒険者の方ですよね?少し、インタビューをしたいのでお時間いただけませんか?」
「え〜と、「いいですよ!!」」
梨花がそう返事をした。
う〜ん、まあ、いいか。
「お二人は冒険者なんですよね?」
「はい!『南門道場』というチーム名で冒険者活動をしています!」
「そうなんですね、ズバリ、お二人に聞きます。『紅の誓い』は20階層攻略できると思われますか?」
「う〜ん、わたし的には何とも言えないかな、わかりません」
梨花がそう答えると女性タレントは少しがっかりした表情をした。
もっと、テレビ受けする意見が欲しかったんだろう。
「絶対に攻略できると思う」みたいな断定してくれる意見が欲しかったのかな?
「そちらのお兄さんはどう思いますか?」
「僕も梨花と同じ意見ですね。僕は『紅の誓い』の実力も20階層のボスモンスターの強さもわからないので。」
女性タレントはさらにガッカリした表情になった。
「そうですか………。ところでお二人はダンジョンに初めて潜ったのはいつなのでしょうか?」
どうやら、まだインタビューを続けるらしい。
「わたしはダンジョンが出現してから比較的早く一回ダンジョンに潜ったんですけど、ゴブリンに遭遇して動けなくなってしまいました。そんな時に助けてくれたのがこっちにいる悠真で、悠真は命の恩人です。それから、チーム名になっている『南門道場』で修行して、最近ダンジョンに悠真と潜るようになりました。」
女性タレントは笑顔になった。こういう話はテレビ受けがいいのだろう。
「そんなことがあったんですね!悠真さんはいつ頃からでしょう?」
「僕はダンジョンの近くに住んでいました。朝起きたら家の近くに巨大な穴ができていて、僕はその穴に入り、すぐに警察を呼びました。そして、この穴が今で言うダンジョンでした。なので、1番最初にダンジョンに入ったのは僕じゃないかな?」
女性タレントは驚いた。
「えーー、なら、悠真さんが地域住民Aさんなんですね!!これはすごいです。ダンジョン発見者を見つけちゃいました。」
地域住民Aってなんだよwww。俺はそんな呼ばれ方してるのか。
「悠真さん、ダンジョン発見時の話などを聞かせてもらえませんか?」
長いなー。そろそろダンジョンに行きたいのだが……。
俺が梨花を見ると梨花もそろそろダンジョンに行きたそうな表情をしている。
「すいません、これからダンジョンに潜りたいので、取材はこれぐらいにしてください。」
「あ〜、そうなんですね〜。まだ、取材したいんですけど……。そうだ、後日取材したいので連絡先を教えてくれませんか?」
女性タレントがそう言って来る。
う〜ん、連絡先渡さないと終わらないかな。
「わかりました」
俺は女性タレントに連絡先を教えた。
それから、梨花とダンジョンに向かった。
少し、梨花が不機嫌そうにしている。
「ふ〜ん、あの女性タレントに連絡先簡単に渡しちゃうんだ〜。別に悠真が誰に連絡先渡そうと自由だけど。渡しちゃうんだ〜。」
「しょうがないだろ、そうしないと取材から抜けられそうになかったじゃん。」
「まあ、そうだけど…………、ああいう顔がタイプなのかな?」
「えっ、なんて?」
梨花の声が小さくてあまり聞き取れなかった。
「何でもないよ!!早くダンジョンに行こう!!」
少し怒った風に梨花に言われた。
梨花の機嫌が悪い。
俺なんかしたかな?
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