第10話

エピソード10 ___ 梨花と師匠


「ごめん、ちょっと待ってた?梨花?」

梨花は電話で約束した待ち合わせの場所にいた。


梨花はセンスが良い動きやすそうな服を着ていた。

いやー、可愛いな。


「いや、全然待ってないよ。じゃあ、今日はよろしくね」


「うん、じゃあ、行こうか」

俺は梨花を自分の車に乗せて師匠の道場に向かった。



「師匠ー、いますか?」


「おう、おるぞ、入ってこい」


俺と梨花は師匠の道場の中へと入った。


「おっ、そっちのお嬢ちゃんがお前が電話で言っていたお嬢ちゃんか?」


「はい」


「大野梨花です。よろしくお願いします!!」

梨花は師匠に向かって頭を下げた。


「うむ、話は聞いておるぞ。わしに武術を教えてほしいそうだな。」


「はい、事情でダンジョンに潜ってお金を稼がないといけないんですが私の実力だとモンスターを倒すのは難しいんです。なので、どうか武術を教えてください!!!」


「うむ、まあ、武術を教えるのは良いがわしは厳しいぞ。」


「はい、大丈夫です。武術を教えてください」


「なら、まずは心構えを教えるかの。おい、悠真、お前はいつも通り型をやっておけ。わしはお嬢ちゃんに武術家としての基本的な心構えを教えておく」


俺は型をいつも通りやることになった。


梨花は師匠の稽古に耐えられるかな?


あざができたり骨を折っちゃうかもよと事前に梨花には言ってある。


その言った時に梨花は

「そんなの大丈夫だよ、悠真。だって、そんなことを気にしたらダンジョンに潜れないよ」

と俺に言った。


たしかに、そんなことを気にしたらダンジョンなんかに潜らないな。

借金を返さないと、という思いがあるんだろ。



梨花にはしっかり力をつけてからダンジョンに挑んでほしい。


それに借金を早く返されると梨花とのつながりがなくなってしまう気がした。

こんなに可愛い子とはなるべく長くいたいよね!!

そんな下心も少しはある。



「おい、集中しろ、悠真」


「すいません」

集中していなかったらすぐに師匠に見破られる。

俺は気持ちを切り替え、型を集中してやる。




「悠真、今日はありがとね。」

稽古が終わり梨花が俺にそう言ってきた。


梨花はこれから2週間ぐらい師匠の家でお世話になる。

ホテルに泊まる金が勿体無いし、師匠の道場まで移動する時間がなくすためだ。


「うん、じゃあ頑張ってね」


「うん、頑張るよ!!師匠の話を聞いて今までいかに自分が甘い考えだったかわかったよ。命のやりとりを甘く見すぎていたよ。これからは師匠にみっちり鍛えてもらうよ!!」


「まあ、師匠は厳しいと思うけどがんばって」


俺はそう言って梨花と別れ、自分のホテルに向かった。



「今週のダンジョンTVにはスペシャルゲストとして冒険者チーム『紅の誓い』さんにやってきてもらいました」

ホテルのテレビをつけるとダンジョンについてのテレビ番組が流れていた。


なんだよ、『紅の誓い』って。このチーム考えた人明らかに厨二病だろ。

絶対に後から恥ずかしくなるよ。


「どうも、紅の誓いのリーダー、マサカズです」

イケメンで自信に満ち溢れている男性が出てきた。


「紅…‥の……誓いのメグミです」

「同じく紅…‥の……誓いのミナです」

少し、恥ずかしそうに2人の女性が自己紹介をしていた。

どうやらチーム名はマサカズが決めたな。


もうすでにチームメンバーの中にチーム名を恥ずかしがっている。

黒歴史確定だな。

将来、悶え苦しむがいい、マサカズ!!!


てか、このメグミさんとミナさんってめっちゃ可愛くね?

おい、リアルでハーレムパーティじゃないか。


くそー。マサカズ、うらやましいぞ。


「紅の誓いは近々、ダンジョンの20階層に挑戦するそうですね?」


「はい、そうです!!自衛隊が撤退した20階層を攻略するつもりです!!僕たちなら20階層でもクリアできると確信しています!!!」


自衛隊は初期にダンジョンを調査したが20階層で撤退した。

それまで自衛隊は銃を使ってダンジョンを攻略していたが、突然、銃が使えなくなったのだ。


20階層からはダンジョン産の武器しか使えなくなる。

このことは未来ではよく知られていたことだ。

よくテレビが流していた。

ダンジョンの不思議特集みたいな番組で流していたと記憶している。

そのため、自衛隊は20階層で撤退した。


「マサカズさん、20階層は攻略できそうなんですか?」


「私たちは装備を十分に集めました。それに私たちは十分にレベルを上げました。20階層は攻略できるでしょう!!!」


「そうなんですね!ぜひ、頑張ってください!なお、20階層を攻略すればダンジョンの攻略記録を更新する偉業です。皆さん、ぜひ紅の誓いを応援してください。そして、この度紅の誓いの皆さんのグッズが出るそうですね?」


「はい、明日から発売します。ぜひ買ってください」

そして、写真集や紅の誓いのロゴがプリントされているコップなどのグッズの宣伝が始まった。


もう、アイドルのような存在だな。

俺も写真集買おうかな?

もちろん、マサカズ以外のだけど。



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