第9話

エピソード9 ___ ララクス商事と商談


「野村さん、どうぞ上がってください」

ララクス商事の野村さんが俺の家に再びやってきた。

事前の連絡では土地に関して借りる契約でも良いと会社から許可をもらったらしい。


「失礼します、それとこれはつまらないものですが」

そう言って野村さんは老舗の全国的にも有名な和菓子屋の和菓子をくれた。


これって、めっちゃ高いやつだよな。

この店の羊羹って一本5000円ぐらいしたはずだよな。

なんか、前にもらった和菓子よりもだいぶグレードアップしているな。


俺はありがたく和菓子をもらい、野村さんをリビングにある机に案内した。


「いやー、あれから上司と相談しまして、特別に工藤様の土地を借りる契約でもよいと会社から許可をもらいましてね。ええ、大変でしたけどなんとか許可をもらえました。」

野村さんはいかに許可を取るのが大変だったのかを俺に熱弁してきた。


「そうなんですね、よかったです。それで、どのような条件をララクス商事さんは考えているのですか?」


「あ、はい、私たち、ララクス商事は工藤様から土地を借りて超高級マンションを建てる予定なのです。それで、工藤様にはこちらの条件で土地を我が社に貸してほしいのです。」

そう言って野村さんは俺に紙を渡してきた。


どれどれ、えーーと、一坪1年間で40万円で700坪借りたいと。

そして、俺の家の取り壊しなど立ち退き費用はララクス商事が出してくれると。

なるほど、なるほど。

うん、結構いい条件だ。

税金などを考えなければ1年間で2億8000万円を手にすることができる。


契約は1年間で翌年以降はその時の地価の評価額に合わせて貸し出す値段を決めていく。


「一坪40万円ですか!!それはうれしいですね」


「はい!!!ララクス商事としましても大変頑張らせていただきました。わたしは長年ララクス商事で働いてきましたがこんな好条件は聞いたこともありません!!どうですか?工藤様が所有している土地をララクス商事に貸してもらえないでしょうか?」


「う〜〜ん、そうですね〜〜」

俺はもったいぶる。

この交渉は俺に主導権がある。

俺が所有している土地は日本中のいや、世界中の人が欲しがる土地だ。

もっといい条件を引き出せると思う。

俺には狙っていることがある。


「もちろん、工藤様の家の取り壊しなどの土地の整地作業はララクス商事がやらせていただきます。費用は全てララクス商事が出させてもらいます。」


「う〜ん、いや〜、そこなんですよね〜。家が取り壊されちゃうと住むところがなくなっちゃうんだよな〜。」


「もちろん、それもサポートいたしますよ。ララクス商事は青森にも沢山のマンションを保持しております。そのマンションの一室を工藤様になら家賃を取らずにお貸しします。」


「う〜〜ん、私は冒険者でもあるんですよね。なので、ダンジョンに近いここからは離れたくないんですよね〜。あっ、そうだ。ララクス商事さんはこの土地にマンションを建てる予定なんですよね?」


「はい!!ここに高級マンションを建てよう考えております。」


「そうですよね、なら、その一室を私にくださいよ!!」

野村さんが動揺する。


「いやー、う〜ん、はい。そうですか〜。すいません、少し上司に電話で相談してもよろしいですか?」


「もちろん、大丈夫ですよ」


野村さんは慌てて電話を上司にかけた。




しばらく野村さんは上司と電話で話したのちに電話を切った。


「上司から許可が出ました。工藤様にはこちらの土地で建てる予定のマンションの一室をお貸ししてもいいと。もちろん工藤様から家賃は取りません。」


「そうですか!!!ありがとうございます。では、ララクス商事さんに土地を貸しましょう」


「ありがとうございます!!!こちらが契約書になります」


俺はララクス商事に土地を貸す契約をした。

無事、契約が済んで野村さんはほっとしたような表情をし、そのまま帰っていた。



ふふ、やったぜ。高級マンションの部屋をゲットしたぜ。

実は未来でもこの土地にはララクス商事の高級マンションが建っていた。

『トップヒルズ』という名前だったはずだ。


ダンジョンに行く時には必ず通る場所に建っていたので俺も見たことがある。

このトップヒルズは日本一の高級マンションになっていた。

住民のほとんどはトップクラスの冒険者だった。


トップクラスの冒険者じゃないとトップヒルズの家賃を払えないのだ。

噂では家賃が何百万という話だった。

高すぎだろ!!!


俺はその超高級マンション『トップヒルズ』の一室をゲットしたのだ。

イヤッッフォォォオオウ!!!

最高の気分だぜ!!!!


土地代の毎年2億8000万円と超高級マンションの一室を俺は交渉の末手に入れた。


土地代の2億8000万円は一週間後ぐらいに振り込んでもらえる。

マンションができるまではホテル住まいだ。

ダンジョンから結構離れたホテルしか空いていなかった。

まあ、今はダンジョンを見にきたり、ダンジョンを探索をする人たちでホテルの部屋は埋まっている。


マンションができるまではダンジョンにはいけないかもな。

前日からダンジョン前で待機しないと整理券をもらうことはできないだろう。

そこまでしてダンジョンに行く必要はないかな。


マンションができるまでは修行だな。

梨花ちゃんには指導を頼まれているしな。


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