第二エロ 性癖の告白
「えぇ!見た顔になら何でもなれるんすか?すげぇー!」
助態たちは助態と純純が出会った湖を目指していた。
林の中での休憩中に、ぱいおがくびちに向かって何やらキャーキャー言っている。
「私の顔変化を使えば当然よ。」
オホホとくびちが笑いながら、先ほどの門番と同じ顔に自分の顔を変化させている。
「キャー!それで助態さんの隣に立ってもらっていいすか?うわー!やべーっす。助態さんはネコすよね。門番さんがタチで~うへへー。」
「俺で変な妄想すんのやめてくんない?」
何度目かの注意を助態がする。
「ダメっすか?じゃあ自分がされることを妄想するんで。くびちさんなんかウチにキツい言葉言ってください!」
頬を赤らめながらぱいおが言う。
「おうお前!俺の便器にしてやるぜ。」
頑張って声を低くしながらくびちが言う。
「うへへー。ガチムチにあんなことやこんなことされるー!」
体をくねくねさせながらぱいおが喜ぶ。
「アンタ変わってるねー。」
「そうっすか?でも性癖も趣味も同じ様なもんじゃないすか?ウチ、エロは世界を救うと思ってるんすよ!」
呆れ顔でもふともが言うもぱいおには効果がなかった。
「あ、でもウチ妄想専門なんでそこんとこよろしくっす。」
びしっと助態に片手を上げて言う。
それにはもふともも同意していた。
「まぁね。助態はスケベで変態だからね。気を付けておいた方がいいよ。」
「やっぱり?男はみんなケダモノだと思ってたっすよー。」
「初対面の私のパンツを見てきましたからね。」
ぱいおの言葉に同調するようにルブマも言う。
更には純純までもが助態の痴態を晒す。
「私も初めて会った時に裸を見られました。」
「うわー。」
それを聞いてぱいおは自分の胸を隠すような仕草をする。
もっとも全身鎧にくるまれているので、胸を見ようとしても見れないのだが。
ぱいおは騎士だったのだ。
「何それ!アタイ聞いてないんだけど!」
したっと立ち上がってもふともが怒る。
ピンク一色のビキニスカートがひらりと揺れる。
「いや、あれは不可抗力って話ししたじゃん。」
男の本能とは悲しいかな。下がビキニと分かっていても揺れるスカートの中身が気になるように視線がもふともの股間へ向く。
「うわっ!さいてー!アタイの股間なんか見て何想像してんの!この変態!」
不思議なことに女子は大抵こういった男性の視線に気が付く。
「あなたの様に毛の手入れもしていないような股間、助態の好みなわけないでしょう?」
ふっと勝ち誇った笑みを漏らしてくびちが言う。
いかにもセクシーそうに精林子を一かじり。
わざと白い果汁を唇に垂らしてそれを舌で舐めとる。
「か!勝手にバラすな!それからいやらしい食べ方すんな!この発情女!」
「あらぁ?大人の女のたしなみとして、下の毛のお手入れは当たり前よ?もっとも、そこの小娘みたいにまだ薄い人は手入れの必要はないけどね。あなたはボーボーなんだからお手入れくらいなさい?」
くすりとくびちが笑う。
どうやら昨日の風呂の時にしっかり確認したようだ。
「あ!アタイは自然そのものなのよ!別にいいだろ?ルブマはどうなんだよ。ツルッツルだぞ?それはそれでお子ちゃまじゃないのかよ!」
もふともがルブマを指さす。
ちょうど精林子を食べていたルブマは、へ?と立ち上がっているもふともを見上げながら白い果汁を顎まで垂らした。
「いいんじゃない?まだお子ちゃまだし。出るところも出てないんだから。」
自分の胸をことさら強調しながらくびちが言う。
「それにぱいおも胸はでかいわよね。下の毛はどうしてるのかしら?」
「ウチっすか?ウチは全剃りっす。これがお前が俺のおもちゃの証だとか言われてるの想像しながら剃ってるっすよ。」
うへうへうへへーとぱいおが笑う。
「まじかよ。手入れしてないのアタイと純純だけじゃん。」
もふともが落胆する。
「ウチの場合はそのままいつも1人でしちゃうんすよねー。どうしても性欲には勝てなくてー。」
片手を頭の後ろに持っていきながらぱいおが照れ笑いをする。
「あー。まぁ1人でしたくなる時があるのはアタイも同じだなー。ぶっちゃけ、この旅で急に1人でしたくなった時とか困るよね?」
もふともが激しく同意している。
「私はあんまりそういうのないわねー。性欲があまりないのよね。」
くびちが言うと、ルブマもそれに同意した。
「わ!私もそういうのはしたことないですし興味もないです。」
仲間が居てほっとしているような感じだ。
純純はそもそも何の話をしているのかを理解していないようだ。
「あの?皆さん何の話をしているのですか?」
「小娘には分からない大人の話よ。」
キョトンとする純純を放っておいて話は続く。
「あのさぁ。そういうのって俺みたいな男がいないところでするんじゃないの?普通。」
しびれを切らした助態が話しに割って入る。
「そうっすか?別に自分のことを話してるだけっすよ?下着の色を教えてるわけでもないですし何か問題っすか?」
「アタイも別にこういう話を男がいる前でもできるなー。」
どうやらもふともとぱいおは、下ネタ耐性がかなり高いようだ。
「えぇ?そういうもんなの?」
逆に助態の方が慌てる始末だ。
「私はこの人たちみたいに変態じゃないわ。上品で大人のエロスを助態に提供するわよ?」
くびちは謎の対抗をしている。
「私はあんまりそういう話はしたくないです…」
どうやら一番まともなのはルブマかもしれない。
頬を赤らめているあたり、どんな内容かも分かっているようだ。
純純は相変わらず分かっていないが、下ネタを話していることは理解したようだ。
「私も、ルブマさんと同じでそういうえっちな話は嫌いです。」
プイっと助態と反対の方向を向くあたり、男として意識しているのかもしれない。
「それはそうと、カローンまでどのくらいあるんだい?」
話をもふともが戻す。
「ここからだと、歩いて5日ってところかしら。」
答えたのはくびちだ。
くびちはこの辺の地理に詳しい。
「5日も禁欲っすかー。」
元の話に戻そうとするのはぱいおだ。
「あーアタイもそれはキツいかも。どっかの夜に1人になれないかな?」
「え?もふともさん5日の内の1日でいいんすか?ウチ基本毎日なんすけど?とゆーか、そういう意味では男の助態さんなんてもっと大変っすよね?」
ぱいおがまさかのキラーパスを出す。
「俺?そりゃあ年頃だし、性欲もあるし、できることなら毎日したいけど?でもこのパーティーで俺が1人でするって無理があるでしょ?」
「まー変態のためにわざわざ時間作ってやるわけにはいかないし、トイレついでにでも勝手に抜いてよ。」
助態のことは心底どうでもいいという感じでもふともが言うと、よだれを垂らしながらぱいおが変な妄想をした。
「万が一っすけど、ウチが助態さんがしているところに遭遇したからって、襲ったりしないでくださいよ?」
うへへー。と勝手に妄想し出したので、助態は反論し損ねた。
「性欲の処理は勝手にしましょ?そこには私もあえて突っ込まないわ。誰にでもある欲求だしね。」
半分仕方なしにくびちが言う。
「スケベが覗かなければねー。」
ニヤッと笑いながらもふともが助態を見た。
「の!覗かねーよ!」
もふともはどーだか?と言ったが、反対にくびちは覗いてもいいと言う。
「私は覗かれても構わないわよ?助態が見たいって言うならいつでも2人っきりでみせてあ・げ・る。」
助態の耳元でふっ。と息をかける。
「アンタ1人でしないんじゃなかったの?」
もふともが呆れ顔で言うと、くびちはうっ。と小さく声を漏らして助態の傍を離れた。
「別に私は一人でしているところを見せると言っているわけじゃなくってよ?何なら入浴中でもよくってよ?」
赤くて長い髪の毛を手で後ろにやりがらすっと立ち上がって、もふともを見下ろす。
「あなたの様に、毛の手入れもしていなくて胸もそこまで大きくない女なんてね、男からしたら興奮する要素なんて無いに等しいのよ!」
「うっ。うるさいわね!アタイは別に男なんてどうだっていいんだよ!」
ぷいっとそっぽを向く。
「まー。ウチも男に飢えてるわけじゃないっすからもふともさんに同感っすねー。ウチに百合属性はないっすけど。」
両腕を組みながらぱいおが深く頷く。
「アタイがいつ百合属性があるって言ったよ?」
「え?ないんすか?」
「あの。百合ってなんですか?」
もふともとぱいおのやりとりをよそに、純純がルブマに訊くが、ルブマは苦笑いをして誤魔化していた。
女性陣のやり取りを見て、助態はそっとため息をついた。
●
「何なんだこいつは!?」
全裸状態の助態が悪態をつく。
「酸スライムだよ!色々溶けるから気をつけな!」
胸部分を片腕で隠しながらもふともが叫び返す。
よく見ると、ビキニの胸部がなくなっている。
「くそ!さっさと返せこのエロサル!」
もふともが悪態をついている相手は、その言葉通り猿だった。
猿の手には、もふとものピンクのビキニが握られている。
先ほどのゆったりした休憩時間が終わり、助態たち一行が歩き出してすぐに目の前に黄色いスライムが現れたのだ。
モンスターだとすぐに分かるも、所詮はスライム。大したことないだろうと高を括っていた助態にルブマの鋭い声がかかる。
「避けてください!」
黄色いスライム――酸スライム――が黄色い液体を飛ばしてきた。
体が自在に変形できるモンスターだからこその荒技なのか、まるで自分の体から分裂させるように黄色い液体を助態に向かって飛ばす。
油断――という程のものではない。
スライムに対して警戒する者などそういない。
しかしその油断が助態の反応を鈍らせたのも事実。
黄色い液体が洋服にべったりと付着してしまった。
幸いなことに肌に触れなかっただけよかったのかもしれない。
「すぐ服を脱いでください!服を溶かしている液に体が触れると、体も溶けますよ!」
ルブマに言われて助態は慌てて着ている服を脱いだ。余程動揺していたのだろう。履いていたパンツまで脱いでいる。
「なっ!何で下着まで脱いでいるんですか!早く履いてください!」
手で目を隠して顔を赤くしながらルブマが言うが、純純のきゃー!という叫び声でそれどころではなくなってしまった。
純純は普段からワンピースを着ていることが多い。今日も白いワンピースを着用していた。
目の前の茶色と白い模様の猿が、純純のものであろう純白のパンツを片手に持っている。
「エロサルか!純純のパンツを返しな!」
もふともが怒って向かって行くが、逆にビキニの胸部を剥ぎ取られてしまった。
「このスライムは酸でできてるってこと?」
「そうですよ!早くパンツを履いてください。」
すっぽんぽん状態のまま聞くと、ルブマがパンツを助態に投げつけた。
「酸で溶けた服は水で洗い流さないと着れないわ。」
駆け寄ってきたくびちが説明する。
「あの猿はエロサルと言って、女にエロいことばかりするの。危険度はEだから大したことないけど酸スライムは別。危険度Cよ。今の私達に勝てるモンスターじゃないわ。」
助態の溶けた服を湖に沈めながらくびちの説明は続く。
ぶくぶく立つ泡が、酸の強さを物語っている。
「助態はとりあえず服を着たらあの猿から小娘のパンツともふともの服を取り戻して。その間このスライムの相手は私たちが引き受けるわ。」
私たちと言ってくびちは自分とぱいおを指さした。
「あの。私は何をすればいいのですか?」
ルブマが聞く。
「ルブマと小娘は逃げる算段をしておいて。スライムは足は速くないから簡単に逃げれると思うけど、猿は速くて厄介よ。頼んだわ。」
バサッと助態に洗い流したびしょ濡れの服を渡しながらくびちが言う。
「あ。これ、乾かしといて。」
助態はそう言ってパンツ一丁でエロサルに向かって行った。
「もふとも!そいつの注意を引けるか?」
エロサルを追いかけ回すもふともに向かって助態が叫ぶ。
「注意って…この変態が!」
そう言って赤面したもふともは、両手を広げてエロサルに自分の胸を見せつけた。
エロサルの動きが止まる。
「いただき!」
そのすきに助態が猿の手からパンツとビキニをかすめ取った。
「行くぞ!」
もふともに服を投げ渡しながら声をかける。
前方ではくびちとぱいおが酸スライムをけん制していた。
装備している武器では溶かされる危険性があるからか、石や木の枝を投げていた。
「なるほど…溶かす液を出すことさえ分かっていれば、近づかないことでけん制できるのか。」
「危険度Cとは言ってもD寄りのCだからね。」
助態の後方で服をちゃんと着たもふともが言う。
猿はせっかく手に入れたはずの戦利品を奪い返されて怒っている。
後ろの方でウキー!ウキー!と怒りの声をあげている。
「急ぎましょ。厄介だわ。」
助態ともふともに合流したくびちが言う。
いつもなら、くびちに対して何かしらの文句を言うはずのもふともも何も言わない。
「厄介って?」
助態の質問はすぐに分かった。
酸スライムは戦闘力は高いけれども、動きが遅いのでそこまで脅威ではない。
エロサル自身の戦闘力は低い。しかしエロサルは仲間を呼べる。更にエロサルの呼び声に応えるのはエロサルだけではなかった。
灰色の大型犬が物凄い数追ってきた。
かなり早い。
「よりによってチェイスドッグかよ!」
チッともふともが舌打ちをする。
助態に、チェイスドッグって?と聞く余裕はない。
走るのに必死だからだ。
しかし、人間の全力疾走よりも動物のそれの方がはるかに速い。
あっという間にチェイスドッグに追いつかれる。
そこに純純とルブマが助けに入る。
「伏せてください!」
純純の言葉と同時に一行が伏せる。
上空で耳をつんざく破裂音。
直後にモクモクと煙があたりを包んだ。
さすがのチェイスドッグも、この音と煙に驚いて足を止めたようだ。
そのすきに助態たちは窮地を脱した。
●
「いやー。空煙を使うとはアタイも驚きだったよー。」
火を囲みながらもふともが言う。
その目は、火の周りにある魚に向けられている。
空煙とは、導火線に火を点けて、点火するとさっきのような轟音と煙をまき散らすアイテムだった。
火は魔法で点けるのが普通だが、火を扱える者がいない場合には、萌え萌え草というアイテムを使う。
萌え草と呼ばれる植物を特殊に加工して、袋に詰めたのが萌え萌え草。袋から取り出すことで火を点けることができるアイテムだ。
話を聞いてみると、エロサルの呼び声でやって来るモンスターはランダムなようだ。
「あの、勇者様?」
やや言いにくそうに純純が声をかける。
休憩中で調理中、やることがないため、全員の視線が純純と助態に集まった。
「私の…その…さっきのエロサルに盗まれた下着は取り戻せたのでしょうか?」
顔を赤らめながら訊く。
「え?あれ?もふともに渡したはずだけど?」
助態がもふともを見ると、もふともはそっぽを向いて口笛を吹いた。
あからさまにしらを切っている。
「あ、あなたそこまでして小娘のパンツが欲しかったの?」
くびちがひき気味に言う。
「うへぇー。もふともさんもしかして今晩のおかずっすか?」
ぱいおもややひいていた。
「なっ!アタイは別にそういうつもりじゃ!確かにおかずにしようと思えばできるけども…べっ!別にそういうつもりじゃないから!」
そう言いつつも、パンツを返そうとしないもふともに、純純が言う。
「おかずですか?私の下着は食べれませんよ?」
これに真っ先に反応したのはルブマだった。
飲んでいたお茶をむせている。
「ルブマさんってもしかして裏でエロいことを考えている系女子っすかぁー?」
にやにやしながらぱいおが言う。
「ななななななな!そんなわけないじゃないですか!」
顔を真っ赤にして必死に否定するルブマを見て、ぱいおが頭をなでなでした。
「ルブマさん可愛いっすね!妹キャラってゆーか、ロリ属性マックスっすよ。もふともさん、ルブマさんには欲情しないんすか?」
「ふぁい?」
変な声の返事は、純純とパンツの取り合いをしていたからだ。
意表をついた質問に、返事が変な感じになってしまったようだ。
ぱいおの方を向いた瞬間に純純が純白のパンツを回収した。
「ほら助態は小娘のパンツなんて見ないの!」
やや怒り気味でくびちが助態に注意する。
「あ、アタイは確かにルブマもちっちゃくて可愛いけど純純一筋だから!浮気はしないから!」
もはやもふともは開き直っている。
そう言って純純に抱き着いた。
「フラれましたねルブマさん~。」
「わっ、私は別に女性に恋愛感情は抱きません。」
まだ顔が赤いままルブマがぱいおに言い返している。
「あら?じゃあ小娘はあげるから助態は私が貰おうかしら?」
くびちが助態の手を自分の胸に持っていくと、助態は男の本能でその巨乳を揉みしだいた。
「なっ!何をやっているのですか!」
その光景を見てルブマが激怒する。
「あらぁ?ルブマ、ひょっとして巨乳に嫉妬?」
自分の胸を揉む助態の手を支えながらくびちがにやりと笑う。
「嫉妬なんてしてません!胸がないのはアーチャーの宿命です!えっちぃことをしているから注意しただけです!」
「えー?ルブマさんあっちはいいんすか?」
ぱいおがあっち。と言って純純ともふともを指さす。
もふともがぱいおのワンピースをめくっている。
くびちもそうよー。と言いながら、助態が胸を揉むのを手伝う。
「お!女の子同士はいいんです!助態さん!さっさとくびちさんから離れてください!」
「えー?でもくびちもいいって言ってるんだからよくねー?」
ことさら胸を揉む力を強めると、くびちがあん。と黄色い声を出した。
「うっわ。さいてーっすね。」
ぱいおが思いっきりどん引きした。
「さっさと…!離れてください!」
ゴンッ。
ルブマが木の棒で助態を思いっきり殴った。
助態は、にやにや顔のままその場で気絶した。
●
休憩場所からしばらく歩くと、元カローンの村があった。
村の周囲をぐるりと木の柵で囲って、モンスターから守っていたのが分かる。
助態が初めて訪れた村、ラーガの村よりも小さ目の村だ。
むしろ、最初の湖の大きさがかなり広いことが分かる。
ラーガの村から湖に向かって歩き、湖に沿って歩くことでカローンの村にたどり着けたわけだが、湖の対岸は全く見えない。
「湖の広さは、カローンやラーガ以上と言われているわ。」
歩きながらくびちに言われた言葉だ。
カローンの村を見てみると、確かに野菜軍団と呼ばれそうなモンスターがばっこしていた。
歩く玉ねぎに歩く人参、歩くかぼちゃに歩くパプリカ。
「あれが野菜軍団よ。危険度はみんなC以上。私達じゃ当然勝てないわ。」
くびちが言いながら、モンスターの名前を教えてくれた。
玉ねぎが玉ねぎ爆弾。人参が女体人参。かぼちゃが岩南瓜。パプリカがダンスパプリカらしい。
「見た感じ、生き残りなんていなさそうだけど?」
ひそひそ声で助態が隣のくびちに言う。
「そうね。滅ぼされたか、捕まっているか…捕まっているとしても潜入するのは不可能よ。もっと強い仲間がいれば潜入できるかもしれないけど…」
草陰に隠れながらくびちもひそひそと話す。
「兎獣族か…」
背後でもふともが呟く。
「兎獣族?」
カローンの村を後にして、最初の村――ラーガの村――へ戻る最中に、助態がもふともに訊いた。
「あぁ。発情ウサギと同じくらい年中盛ってるエロウサギ共だよ。」
「モンスターじゃなくて?」
「兎獣族はモンスターじゃありませんよ。もふもふしててかわいいですよ。」
にこりと純純が微笑む。
「か!かわいい?純純はもふもふが好きなのか?」
もふともがショックを受けたように聞くと、純純がもふもふは好きです。と答えた。
「も…もふもふ…」
「大丈夫っすよ。もふともさんも下の毛はある意味もふもふじゃないっすか。」
慰めになるのか分からないフォローをぱいおがする。
「な。なるほど。でもアタイの大事なところを純純にもふもふされるのは…」
純純との妄想で鼻血を出したようだ。
「なななななな何をしているんですか!」
なぜか怒ったのは純純じゃなくてルブマだった。
「なんかぱいおと一緒にいるようになってから、アタイも妄想の良さを知ってしまった気がするんだよね。」
「分かっちゃいました?まぁウチは妄想しても鼻血は出しませんけどね。」
うへへー。と笑いながらぱいおが応える。
「バカな!人間は誰しもエロいことを考えたら鼻血を出す生き物のはず!」
大げさな驚き方をする。
「そんなわけないでしょ!」
びしっともふともをくびちがチョップした。
もふともはぐえっ。と言いながら鼻血を拭いた。
「その兎獣族ってのはどこにいるの?」
「「「「「…」」」」」
ピタリと助態以外の5人の足が止まった。
「?」
不思議に思った助態も足を止めて後ろを振り返る。
「「「「「さぁ?」」」」」
純純、くびち、もふとも、ルブマ、ぱいおの5人が口をそろえて言う。
揃いも揃って首を右側に傾げて、人差し指を顎に当てている。
「あざといポーズか!」
思わず助態は突っ込んでいた。
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