僕はスマート&スタイリッシュな男

オーバエージ

隠しおおせない僕のスマート&スタイリッシュさ

僕は区役所で働くスマート&スタイリッシュな男である。自分でそう言うと、とても恥ずかしいのだがコップからもれ出す水のように、隠したくてもこのスマート&スタイリッシュさはおおよそ隠し通せない。役所は9時から17時まで、土日祝日は必ず休み、兼業はしない。大金持ちではないがスマート&スタイリッシュに上司から仕事の印鑑をもらうと1回転しながらスーツを脱ぎ、バッグを持ち、スマートに区役所を後にした。

12月の事だ。仕事が終わり夜。一定の体重を保つためスーツ姿でジョギングをしていると、後ろから何やら不穏な気配を感じ、スマートに振り返った。

すると5人組が不気味に僕の方に怪しく近づいてきた。僕はスマートに両手で覆うように眼鏡をクイと上げる。

「僕になんか用か?」

僕は先に話を切り出した。

「金がねぇんだよな俺たち。電車賃もねえから金くれや」

「君達に電車賃を渡すメリットは?」

「面倒くせえヤツだな、やっちまおうぜ」

売られたケンカはかわねばならない。教育の時間だ!男は再び眼鏡を上げた。

僕は、いの一番に近づいて来たやつのアゴにスタイリッシュにパンチし、舌にダメージを思いっきり与えた。

2人目の男には、前の1人を盾にしてパンチをかわし、投げ捨ててからスタイリッシュに2番目の男に回し蹴りを食らわす。

3人目と4人目は二つとも頭を掴んでガンッと音が出るほど頭をぶつけ合って失神させる。

5人目は恐れを感じて逃げ出した。追うのはスマートではない。

「うぅ…」

僕は道路に張り付いてる男4人を前に、片足を踏んずけながら言った。

「もっといい声で鳴いてくれよぉ?飽きちゃうからさぁ…」

そう言うと僕は内ポケットから焼き鳥を取り出し、スマート&スタリッシュに食べた。

少しだけ出た汗をハンカチでスッと拭いてから、家路までジョギングを続けたのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

僕はスマート&スタイリッシュな男 オーバエージ @ed777

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ