第7話 在留ベトナム人の現状
448,053人(法務省『在留外国人統計』)。
これは、2020年6月末時点での在留ベトナム人(中長期在留者)の数です。2019年末時点と比べて+8.8%(+36,085人)増加し、過去最高を更新した。上位十ヵ国のうち前年末比で人数が増加したのはベトナムのみでした。
半年前の2019年末時点(411,968人)と比べて8.8%増であり、ベトナム以外の上位国は、全て減少していることからすれば、その勢いを理解できるでしょう。
特に、韓国(426,908人)を抜いて中国(778,112人)に次ぐ第2位になったことは象徴的だとさえ言えます。
全体構成比からすれば、約3人に1人が中国人(構成比27.0%)であり、ベトナム人は、約6人に1人(構成比15.5%)にまでなっているのです。
したがって、日本人も「ベトナムについて良く知らない」なんて言えなくなってきています。
在留外国人総数は2,887,116人。
これは、前年末より46,021人(1.6%)減少しており、前年末に比べて減少したのは、平成24年以来8年振りとなります。この増加率を維持すれば、近い将来〈日本で最も多い外国人〉は、ベトナム人となるかもしれません。
しかしながら、これは、単純に「ベトナム人が中国人のようになる」というものではありません。
なぜなら、在留ベトナム人の半数を超える218,727人が、技能実習生であり、これは全技能実習生378,200人の半分以上に当たるからです。また、日本での就労が主たる目的であると疑われる傾向にある留学生も約7万人となっています。
つまり、在留ベトナム人の3分2以上が「出稼ぎ外国人労働者」となっています。このベトナム人は、3年間から5年で日本から去らざるを得ません。
他方、最も法的にも経済的にも安定しているはずのベトナム人永住者は、約1.7万人に過ぎず、この点からも在留ベトナム人の構造的歪みを理解できるでしょう。
これらは、在留外国人第二位という日本社会における重大なファクターとなっているはずのベトナム人が、リスクファクターとして内包されていることを意味しています。
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