第11話 第三の目
倒れている店主の横に、さっき見た店主がもう一人居る
顔には三個の目がついているだけで、口も鼻もない
「ここにも無いですね」
腹から声が出ている
「あなたが箱を持っているのですか?」
鬼は私に近づくが、アイが止めに入る。
槍を突きつけられた鬼は、それ以上には近づかない。
「紳士的に交渉をしましょう」
三つ目の鬼は、口では紳士的というが店主さんは倒れている
私は「交渉なら、力を使わないでもいいでしょう」
倒れた店主さんが心配になる
「店主さんを介抱させてください」
「いやもう死んでいます、体を乗っ取ろうと思いましたが
先に扉を開けられましたからね」
足の力が抜けそうになる、脱力感で立てなくなる恐怖は
両親が死んでから経験していない
獣人のタイガーが私を支える
孤独王が前に進む、怖くないのかしらと考えると、自然と彼に触れていた。
「ひさぎ、大丈夫だ」
私の手を握ると「交渉の中身はなんだ?」
鬼は「その箱は盗まれたものですよ、人間が祠から盗んで売ったのです」
「もちろん、この店主も危険なモノと知っています、鬼の目が刻印してあります」
「私は売った代償として、命を頂きましたが罪とは思っていません」
「箱を返せばいいのか?」孤独王は緊張をしているようだ。
冷たい手を握りながら、私にも伝わる。
「箱を開けた男と封印の箱を返して貰えれば、終わりです」
「クァシンは渡せないわ」
思わず叫ぶ
「そうでしょうが、私は封印を守るために雇われています」
「開けた者を罰して、箱を元通りにするだけですよ」
鬼は少し考えると
「あと封印の鬼を倒した者の命も必要でした」
にやりと笑うと、冒険者のアイの槍を奪い取る。
アイはあまりの早さに対応できずに立ちすくむ。
「この小僧が一の鬼を倒したようですね、死になさい」
アイの胸に深々と槍を突き刺す。
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