第9話 出発

女神から封印の箱を捨てるように言われたが

ただ捨てて、いいのだろうか?

「女神様、封印が解かれたままで良いのですか?」

ワールドザワールドの女神は、困ったような顔をする

「本当は封印の方がいいのだけど、今回のような事が起きるからね」

封印の箱がなぜ古道具屋に、売られたのか不明のままだ。


冒険者のアイが「女神様は封印できないのですか」

「私は別に万能なわけじゃないのよ、

 箱ごと中身を破壊することは出来ても、解放された呪いは

 消えないで残ります」


「捨ててもいいのか?」孤独王が口をはさむ

女神は端正な顔の孤独王を見ながら、

「南の穴は、通称で奈落と呼ばれているわ

 地獄まで通じてると言われている、そこに落とせば呪いも地獄まで落ちる」

「地獄から持ち帰る奴が居ないといいな」

孤独王が皮肉めいた事を言う。


私が女神の神格を持てる事、そして箱を捨てる事でランクが上がる事。

この二点を目標に行動をしなければいけない

気が重くなってきた


「クァシンは治りますか?」

箱を開けて呪いに触れた彼の事は心配だ。

「大丈夫よ、封印の箱から遠ざければ自然回復するわ」

「え?一緒に私がついてきてはダメだったの」


「あなたは、女神の神格が発動しているので、そこまで酷くならないわ」

女神から獣の皮で作られた地図を貰う。


私は遠くからクァシンを見ながら手をふった。

今は近づかないで、無事を祈る。


「私なんかが女神でいいのかしら」

ため息をつきながら、大樹の門から出るとアイと孤独王がついてきた。

私はアイを見ながら「お願いがあります」と告げると

それを遮るように「奈落までいこう」と迷いも無い感じだ。

嬉しくてほっとする。


「俺も行くぞ」孤独王も賛同した。

「危ないかもしれません、孤独王さんも呪いは恐ろしいのでは?」

不思議に感じる、彼は美男子だが腕が立つようには見えない。


「孤独王はなぜ行きたいんだ?」

アイも不思議そうだ

「子供が二人で旅に出るのは危険だろう、大人がいないとな」

なるほど、心配してくれるのか


「それに、妃になる女性を危ない目に遭わせるの嫌だからな」

ん?いつのまにか結婚する話に変わっている。

「わたしはまだ、結婚できませんよ」

やや焦り気味に、結婚は否定しないけど年齢でダメみたいな流れを作る

それに私はまだ、誰ともお付き合いをした事が無い

混乱をしているとアイが

「ヒサギといつ婚約をしたんだ」と孤独王につめよる


孤独王はきっぱりと「全世界の女性は妃だ」

私もアイも、どう返事をすればいいのか、判らなかった。

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