第8話 第二の目

この世界での女神の役割は、明確ではない。

様々な場所に多様な名前を持つ女神が住んでいる。

私の前に居る女神は、ワールドザワールドの女神で

この地域の管理をしている。


「ヒサギ、鬼の封印の箱は、あんたが管理しなさい」

私は呪われない特性があるのだろうか

「わかりました、私が預かります」


冒険家のアイが

「ヒサギはまだ歳が若い、あなたが管理できませんか?」

アイが不服そうに告げると女神は

「試練よ、この課題をクリアする事で彼女の神格が上がるわ」


「神格ってなんです?」

私は人間が神になる所までは知っている。

だが具体的な力を知らない。

「人間よりも高い次元からの干渉かしらね」

女神様の話は難しい


アイが説明してくれた

「箱の中にお菓子があるよね?でも蓋がしまっていたらどうする?」

私は「蓋を開けて食べる」

女神はおかしそうにクスクス笑う

ちょっと恥ずかしい、食いしん坊みたいな事を言ってる


「でも動物は蓋を開けられないよね?」

たしかにイヌなら開けられそうにない

「人間は手で開ける、

 女神は、人間には見えない手を使う」


「私も使えるようになるの?」

私にそんな能力があるとは思わなかった


「お話中にすいません、ヒサギ様はいらっしゃいますか」

夢中で話をしていて気がつかなかった

真後ろに女性が居た

深々と頭を下げている彼女は、私の名前を呼ぶが

見知らぬ女性だ。


「私がヒサギです」

私は向き直っておじぎをする。

私が顔を上げると同時に、彼女も顔を上げた。

彼女の顔の目は直列に、二つ並んでいた、鬼だ。


ぐいっと肩を引っ張られるとアイの背後に回される。

アイが鬼に仕掛ける前に、女神がすっと指を上げると

鬼が透明なガラスに変化した。

彫像のような鬼に近づくと、それの額に手を当てる。


砕け散るガラスの山を見ながら、

「これが女神の力よ」と淡々と説明をした。


「鬼はあなたが所有する箱を狙うわ、

 ここから遠くにある南側の穴に捨ててきて」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る