Rice

キザなRye

第1話

「来月、じいちゃんの誕生日だな。何しようか。」

「88歳になるんだろ、米寿なら今までとは違った何かをしなきゃいけないよな。」

「ベイジュ……なんだそれ?」

「米って漢字が八十八を組み合わせたように見えるからそういう風に言われているんだ。よく聞く還暦も同じような分類の一つだ。」

「還暦って先生たちが退職の話をするときに出てくるあれか。」

「そういう認識の人はあんまりいないと思うけどそれだ。長寿祝いってことだ。」

「へー、米寿ならこれをあげるべきだみたいなのないのか?」

「うーん、何だろうな……米寿だから金茶色のものが良いとは聞くけど。」

「ネクタイとかどう?自分ではあんまり買わないような色だし、良い機会だと思うんだけど。」

「その色を自分で買わないのはその色があまりにも使いにくいからだと思う。稲の色みたいなネクタイって高校の制服くらいでしか見ないよ。」

「そっか、じゃあハンカチとかは?ハンカチはそんなに色を気にしないでしょ。」

「まあ、ハンカチだったら相当変でなければ使えないことはないけど……」

「ほら、これで決まりだ。」

「いや、僕の記憶が正しければじいちゃんはハンカチにこだわりを持っていて相当な数のハンカチが家にあったはず。だからあげても使ってくれるか分からないな。」

「そうか……じゃあ何が良いのかな。」

「お花をあげるとかはどう?ネットで調べてみたら有力な候補として挙がってる。」

「お花ね。ちなみに何の花?」

「胡蝶蘭とかは?胡蝶蘭の花言葉が“幸福が飛んでくる”っていかにもなものだし。」

「いいね!それにしよっ!」

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