谷底を照らす聖火
★はじめに
OCTOPATH TRAVELERは株式会社スクウェア・エニックスの著作物であり、OCTOPATH TRAVELER TRPGは久保田悠羅/F.E.A.R.の著作物です。
当シナリオは同TRPGを盛り上げるのが目的であるため、これらの権利を侵害するような行為は固くお断りします。
★マスタリングに際して
・判定を行う際は【○○:△】と表記します。【感覚:10】なら『目標値が10の【感覚】判定』と読んでください。
また、当シナリオ内には目標値が複数存在する判定があります。この判定をする場合は、全ての目標値をプレイヤーに提示してください。
・(P○)の表記があったらルールブック○ページを参照してください。
・原作ゲームの地名やキャラクターが登場しますが、各種関連書籍や個々人の信じる姿と強い齟齬を覚えた場合は、適宜「そんな感じの別のキャラクター」等と補完してください。
・当シナリオの展開や結末は適宜変更していただいて結構ですが、著しい変更はご容赦ください。
・前作「少女の勇気、薬師の戦い」からの継続プレイを想定していますが、単発のシナリオとしてもプレイ可能です。単発プレイの場合、前作と繋がりのある描写などは読み飛ばしてください。
★シナリオスペック
・プレイヤー人数:2〜4人
・想定プレイ時間:3~4時間
・PCの消費経験点:「100(以下、Lv3)」or「200(以下、Lv4)」
※消費経験点によってエネミーデータを差し替えます。「200」未満の場合、「100」として扱ってください。
★ストーリー概要
クリフランドの山道を歩いていたPCは崖崩れに遭遇し、遥か谷底へ転落してしまう。落ちた先にいた同様の被害者達と協力し、谷底から脱出するのが目的。
途中にならず者のアジトがあり、これを突破することができればシナリオ終了となる。
★トレーラー
陽光届かぬ谷の底。肩を震わせる少女の涙を拭ったのは、同じく谷底へ転落した一人の神官だった。
彼女は自身の手当もそこそこに少女とその両親を元気づけるが、その一帯はならず者が蔓延る無法の領域。
この苦境を突破することが叶うだろうか?
彼女には、仲間が必要だ――。
オクトパストラベラーTRPG「谷底を照らす聖火」
★NPC情報
・オフィーリア
フレイムグレース出身の神官。20歳。
20年に一度行われる“式年奉火の儀式”のため、聖なる種火を運ぶ旅をしている。
・ドリス
行商人夫婦の娘。8歳。
・カタリナ
ドリスの母。29歳。
・クリストフ
ドリスの父。34歳。行商人。
・“親分”バーナバス
クリフランド北部の谷底を根城にするならず者の頭領。リバーランドのとある集団から貰った火薬「ガルデラの火」で岩山を発破して回り、火薬の材料となる鉱石をその集団に流している。
★オープニング
PC達は切り立った崖が立ち並ぶクリフランド地方の、険しい岩山を進んでいた。目指すは近頃金鉱脈が発見されゴールドラッシュにいろめき立つ鉱山の町、クオリークレスト。
町までまだ丸一日はかかるだろう、夕暮れ時。今夜は野宿だ、と準備をし始めた辺りで、それは起きた。
ズズ……ン……岩山を震わせる音が聞こえ、PC達の足元の地面が轟音と共に崩れ落ちた。身軽なPCは咄嗟に被害を抑えるようには備えられるかもしれないが、崖崩れから脱することまでは叶わず、谷底へ転がり落ちてしまう。
「……丈夫、ですか……?」
聞く者の穢れを清めるような女性の声に、PC達は目を覚ます。
辺りに太陽の光は既になく、昼間であっても殆ど光は差し込まないような、深い谷の底であった。
岩山を抉ったような直径10mほどの窪地の中央では焚火の光がゆらめき、声の主たる女性が心配そうにPC達を手当している。彼女の他には、少女が1人とその両親らしき壮年の男女が、暗い表情で膝を抱えている。
「旅の方ですか? 私はオフィーリアと申します。フロストランド地方のフレイムグレース出身で、神官をさせていただいております」
そう名乗った美しい金髪の女性は、土埃や自身の血で汚れてしまった白い法衣を気にする様子もなく、PC達を安心させるように微笑む。
「私とあちらの行商人一家は崖崩れで転落してしまいました。
幸い重大な怪我はなく、4人で協力してここから脱出しようとしたのですが、途中でならず者がうろうろしているのを見かけ、ここまで避難してきたのです。
日も暮れ始めたので焚火の準備をしていたところで――」
「同じような崖崩れが起きて、あなた方が落ちてこられたのです。本当に、大事なくて良かった……」
そこまで話したところで、オフィーリアはPC達に「この谷底から脱出するため、協力してくれませんか?」とお願いしてくる。
※対価や報酬は提示されない。もしPCが要求したら「手持ちはこれしか無いので、これでよければ……」と革袋を渡してくる。その中には合計で480リーフ入っているが、これは彼女が現在持っている路銀の全額である。PCが受け取ることを選ぶなら、480リーフはPCの物となる。
※行商人一家は「どうしたものか……」と肩を落として落ち込んでいる状態で、PC達が彼らに報酬を要求した場合、「これくらいで宜しければ……」と[300*PC数]リーフを提示する。彼らはもっと持ってはいるが、この事故によって失われた商品の損失額から、これ以上出してしまうと生活が成り立たなくなってしまう。
PC達が協力を承諾すると、オフィーリアは
「ありがとうございます! 大丈夫ですよ、皆さん! 皆で協力すれば、きっと町にたどり着けます! 聖火神エルフリックから賜ったこの輝きが道を照らしてくれます!」
と、彼女の荷物から青い炎を灯した角灯を取り出し、行商人一家を元気づける。
この炎についてプレイヤーが興味を持つようなら、メインジョブかサブジョブが神官のPC、及び【理知:10】でそれが本来ならフレイムグレースの大聖堂にあるべき聖火神エルフリックの聖なる炎だと分かる。オフィーリアに尋ねると、彼女が今、20年に一度の“式年奉火の儀式”のため、この聖火を持って各地を旅していることを教えてくれる。但し、これはシナリオとはあまり関係ない話なので、話題に挙がった場合だけで良い。
「ここはかなり奥まったところなので、ここにいる限り彼らに見つかることはないでしょう。夜歩きは危険ですから、まずはおなかいっぱい食べて、ゆっくり休んで、日が昇ってから動きませんか?」
オフィーリアはそう続けると、荷物から数日分の携帯食を取り出し、水袋の水を全部使って、質素なシチューを皆にふるまう。PCが手持ちの食料を提供しよう・準備を手伝おうと提案すると、彼女は太陽のような笑顔でお礼を言う。(食料や水はデータとして存在しないため、ロールプレイの一環、フレーバーとして処理する)
彼女のふるまうシチューを口に含むなり行商人夫婦は涙を零し、オフィーリア(準備にPCが協力していたらPCにも)に「ありがとう……ありがとう……」とお礼を言う。
この時、父親が「クリストフ」、母親が「カタリナ」、娘が「ドリス」という名であることを教えてくれる。
★ミドルフェイズ
翌朝、日が昇ったら行動開始。
基本的にはPCが道を切り開く係で、オフィーリアは一家の護衛にあたる。
出発しようとすると、まず昨日PCと合流前にオフィーリアがならず者を見かけた地点“谷底の渓流”までの道のりを教えてもらえる。
また、クリストフが「昨夜、家内と話したんだが……」と口を開き、「私達は戦えないから、せめて皆さんの力になるため、お一つずつ装備品を提供させてください」と申し出る。
クリストフから提供してもらえるのは、PCがLv3なら「買値が1000リーフ未満の任意の武器か防具」、Lv4なら「買値が3000リーフ未満の任意の武器か防具」を人数分である。それぞれ別のものを指定しても構わない。また、「敵の情報を得てから選びたい」も可。
それらとは別に、町にいる時と同様に任意の武器・防具・アイテムを購入・売却することも可能。
「谷底から脱出する経路」を見出し、「その経路に立ちはだかる障害(=ならず者)」を把握し、「障害の突破方法(主にならず者のボスの弱点)」を調べる……までがここでの行動目標となる。
以下に基本パターンを記載するが、異なる提案が出た場合、基本は目標値12として判定。名案だと思ったら目標値10、無理矢理だと思ったら目標値14とする。使えそうなフィールドアクションがない場合、目標値を-2(8/10/12)しても良い。
なお、オフィーリアの《導く》によって行商人一家が元気づけられているものとする。
〜渓流までの道〜
絶壁の岩肌沿いにしばらく進むと、途中何度か分かれ道があり、その奥は昨晩休んだような窪地になっている。(ならず者が手当たり次第に発破した跡である)
【感覚or幸運:10】により、これら窪地のうちの1箇所で崖崩れによって埋まってしまった洞窟の跡を発見。更にその周辺で見覚えのあるサソリの死骸を見つける。落石で潰れたのだろう、ヤリマダラの死骸だ。(前作で「最近まで盗賊が住んでいた洞窟にオニマダラのような大物が突然現れた」理由はこれである。ならず者の発破によって住処を追われたオニマダラ率いるヤリマダラの群れが、あの洞窟に流れ着いた……という顛末だ)
また、歩いていると遠くから昨日のような「ズズ……ン……」という地響きと、崖崩れの音が聞こえてくる。
〜谷底の渓流〜
断崖絶壁の間を徐々に登るように歩いていくと、涼やかな音と共に水が流れる渓流に出る。道は渓流沿いに下流と上流へそれぞれ進めるように分かれていて、それを確認したPCの目に、下流側10mほどの所で座り込んでいる男の姿が映る。
男性は服も体も土埃に汚れ、大きなズタ袋を抱えたままうずくまっていて、話しかけると
「ご、ごめんなさい! すぐ運びま……あなた方は?」
と、何かに怯えたような様子を見せる。ズダ袋の中には大小様々な石がぎっしり詰まっていて、いかにも重そうだ。
PCが事情を説明すると「なんてこった……ここはゴロツキどもの採掘場ですよ。あいつら、見たこともない精霊石を使って、岩を爆破しては私や他の人らに石を運ばせるんです。……ほら!」と話し、上流側からまた同じような男性がトボトボとやってくるのを指さす。
彼らに聞くと「下流に進むと今日採掘しているところ」「上流に進むとならず者達のアジト」「山道に戻るならアジトを通り抜けるしかない」ことを教えてくれる。
彼らに「ならず者」について聞くと、「[PC数の2倍]人くらいだと思う」と教えてくれる。
PC達が「彼らを助ける」「ならず者を倒す」等の意思表示をすると「止めた方がいい!」と止めてくる。【身体or敏捷:12】で強さをアピールするとPC達に期待する態度に代わるが、彼らができることは「オフィーリア達の隠れ場所に避難」くらいであり、攻略に対して能動的な協力は期待できない。ここでPC全員が失敗すると「あまり遅くなるとまたボコボコにされるので、失礼します……」と作業に戻る。(彼らの作業は下流の採掘場から上流のアジトへ石の詰まった袋を運ぶことである。彼らが作業に戻った場合、この後の上流/下流のシーンに彼らをそれぞれ一人ずつ追加する)
〜下流の採掘場〜
“谷底の渓流”から下流に進むと到着する。昨日休んだ避難場所や渓流までの道にあったものと同じ窪地があり、そこには[PC数+2]人の人がいる。
[PC数]人は革鎧を着込んだ無頼漢といった様子の強面で、後二人の疲弊しきった様子の男女に怒鳴りつけ、周囲に転がった大小の石をズダ袋に集めさせている。
PC達が突入すると強面達は「何だてめぇらは! 何処から入ってきた!」と腰の剣を抜いて襲いかかってくる。
≪戦闘≫
ならず者(A)×PC数−1
ならず者(B)×1
・ステータスは共にマモット(P256)準拠。
Lv4の場合、共にモリギツネ(P256)準拠。
アビリティは以下に差し替える。
1〜3 <たたかう>:単体(同)に物理攻撃。
4〜6 <ナイフ投げ>:単体(別)に物理攻撃。
※選択したアビリティで対象を選択できないときは<口汚く罵っている>とし、何も起こらない。
・弱点を「(A)4:(槍、短剣、火、闇)」「(B)3:(槍、短剣、火)」に変更。攻撃や<しらべる>等で(A)(B)共通する弱点が判明した時、双方共に開示する。
・ならず者(A)を前衛エリア、ならず者(B)を後衛エリアに配置する。
・(A)(B)はシナリオ表記上の分類であり、実運用上はどちらも「ならず者」と呼称する。プレイヤーから弱点について指摘があった場合、「間違いではない」と返答して良い。
・PCから「不意打ちを仕掛けたい」といった提案があった場合、【敏捷:14】に成功したPCのみ、1ターン目の【速度】と【命中】判定の出目に+4のボーナスを得る。これにより【命中】判定の出目が[クリティカル値]以上となった場合、クリティカルとして扱う。
・プレイヤーから「死亡させずに無力化したい」等の提案が出た場合、HPを「0」以下にする攻撃を行ったPCの任意で気絶、捕縛などの形で無力化できるものとする。プレイヤーからこの提案が出なかった場合、最初にならず者のHPが「0」以下になった際に「トドメを刺しますか? 望むなら気絶等でも構いません」とGMから伝える。
戦闘後、その場にはPCの他にへたりこんだ男女一組と、PCが無力化したならず者がいることになる。
男女は聞き出せる情報については“谷底の渓流”で会った二人と同様に扱うが、PCが目の前でならず者を倒しているため、PCの「助ける」等の意思表示は判定不要で信じてくれる。
ならず者は様々な情報を持っており、交渉や説得なら【魅力:10】、拷問や脅しなら【身体:10】で1つずつ教えてくれるが、彼らに【理知】による語りかけは意味を持たない。
同じ方法・判定で続けて聞き出そうとする度、目標値は12、14、……と+2されていく(=2種類をそれぞれ使っていく方が低い目標値で多くの情報を得られる)。
ならず者(A)は親分が怖いから従っている様子、(B)は隙あらば寝首を掻こうと狙っている強気な様子で振る舞う。「(A)には“導く”が有効」等、活用してもらいたい。
〜ならず者から得られる情報〜
→何をしているのか?
「親分が最近、黒ずくめの集団と取引をしている。ガルデラの火の対価として、連中に渡す石を掘ってるんだ」
※オフィーリアはガルデラという名前は知っている(P220)が、ガルデラの火については知らない。この話をオフィーリアにした場合、無視できない様子を見せるものの、やや思案した後、自身は行商人一家を守ることを優先する。
→ガルデラの火とは何か?
「ガルデラの火は特殊な精霊石でな。投げつけると大爆発を起こすんだ。これで石を掘ってる。使った分より多くのガルデラの火を貰えるのさ」
→親分について
「親分は強いぞ。かつてヴィクターホロウの闘技場で連勝してたくらいさ。
槍使いにこっぴどくやられちまって引退したらしいけど、今は槍対策にクリフリザードの革鎧を装備してるから、死角は無いぜ」
→クリフリザードについて
※ならず者に聞く他、【理知:12】でPCの知識に問う形でも入手可能。また、避難場所に戻ってクリストフに聞くと【幸運:10】で入手可能。
「クリフリザードはこの地方に棲息するオオトカゲだ。狼の牙や猛禽の爪に対抗できる、突き刺しに強い皮膚を持っている。この皮は薄く、切り出しが容易で、これで作った革鎧は大変動きやすい。
一方、雨が降ると何かに怯えるように洞穴へ引き籠もってしまう習性があり、何らかの弱点があるのかもしれない」
→「薄い」ため<杖>による打撃に弱く、「切り出しが容易」なため<剣>や<斧>による斬撃に弱い。「雨で怯える」のは<雷>に弱いためである。このヒントからプレイヤーが全く推測できない様子であれば、【理知:10/13/16】で1〜3つ(16をクリアしたら3つ)の弱点をPCが推測できたことにして、GMから答えを伝えても良い。
→(A)と(B)の違いについて(B)に聞く
「親分が取引相手の集団から渡された“絆の鎖”とかいう怪しいブツを俺達に着けさせるんだ。もちろん、親分も着けてるよ。それのせいかもな。嫌な予感がしたから、俺は着けたふりをしているんだ」
(鎖は一度装着すると外すことができず、装着したままだとよく見えない。ならず者(B)だけはこの鎖を着けたふりをしているため、追加の判定や“盗む”“買い取る(240G)”によって入手することが可能。入手した鎖に対し、更に【理知:12】で「<闇>に弱くなる呪いがかけられている」事が分かる)
→ならず者一味やアジトについて
※複数まとめて記載します。PCからの質問が限定的(例:一味は何人?)な場合は「目標値を−2する」「続く質問にも答えてくれる」など調整してください。
「一味は親分を入れると[PC数×2+3]人(7/9/11人)。ここでやられた分を引くと残りは(5/6/7)人」
「川に沿って上流に行くとアジトがある。山道に抜けるならアジトを通る必要があるが、アジトには常に二人は留守番がいる」
「親分は今は山道で獲物を探してるだろう。アジトに戻るのは昼過ぎ〜夕方くらいかな。その辺はあの人の気分次第だ」
〜上流にあるアジトの入口〜
岩山に開いた洞穴の入口近くにある岩に、見張りをするかのように強面の男が座っている。
相手は前述のならず者(A)と同じステータスを持っているが、一人だけのため、PCが制圧を試みるなら【身体or敏捷:12】に1人が成功するだけで制圧、無力化できる。全員が失敗したら、男は援護を呼びにアジトへ走り込むが、「けしかける」による制圧や「試合」による一騎打ち(挑発)からの制圧は可能。
男がアジトに走り込んだ場合、PCがそこで待機するとならず者は二人組になって現れる。急いで離れた場合、次にここに来た時に二人組が待ち構えている。何れの場合も、“下流の採掘場”のならず者(A)と同様のエネミー2体を前衛エリアに配置して戦闘となる。無力化なども同様に可能。
見張りの男は「強気だが絆の鎖をつけている、親分に忠実なならず者」である。“下流の採掘場”のならず者と同じように情報を聞き出せるが、最初から【身体or魅力:12】が必要である。
この男は採掘場から下僕達が石を運んでくるのを見張る係である。「“渓流”の男性二人や“下流”の男女を保護して一度オフィーリアの元へ」等を行っていると、下僕の戻りの遅さに様子を見に来るため、“渓流”で遭遇することになる。そこで男を制圧・無力化すると、アジト入口は無人となる。取り逃がしたらもちろん、二人組との戦闘だ。
PC達がアジトへ侵入しようとした場合、GMからプレイヤーに「いつ親分が帰ってくるか分からないが、それでも構わないか?」と確認する。プレイヤーから「構わない」旨の返答があれば、ミドルフェイズは終了となる。
もしPCからオフィーリアに加勢の要請が入ったら、「行商人一家を連れてアジトの入口付近で待機する」という形を提案。積極的な戦闘への参加は「彼ら(行商人一家)を放置することはできない」と断る。
★クライマックス
アジト内部は岩壁の洞窟だが、所々板で補強されていたり、足場が組まれていたり、人の手が加えられている。通路に明かりはないが、奥の方がぼんやり明るい。
通路状の空間を少し進むと、10数人が好き好きに生活できるだろう大広間に出る。辺りには酒樽や食い散らかした肉の骨などが散乱していて、悪い意味で生活感に溢れた場所だ。粗末なテーブルの上では、広間の汚さに似合わない豪奢な造りのランプがひび割れた硝子越しに輝いており、薄暗いながら視界は悪くない。(言わずもがな盗品だが、傷物であり、持ち帰っても値段はつかない)
広間中央には大の字で眠っているならず者がおり、判定無しで無力化、尋問が可能。“アジトの入口”で二人組として倒している場合、ここは無人となる。
広間からは、来た通路を背にして左右と奥の三方向に通路が伸びている。左右の通路は程なくして木製の扉が取り付けられてるのが見える。奥の通路の先は暗くてよく見えない。
右の通路の扉には錠前がついているものの、施錠はされていない。
扉の先は3m四方ほどの部屋で、岩に打ち付けられた複数の楔から鎖が伸び、ベルトのようなものが取り付けられている。(このベルトは施錠できる首輪。ここは4人の下僕が夜中、閉じ込められている部屋である)
左の通路の扉には錠前がついていて、施錠されている。【感覚:12】で解錠できる。
扉の先は3m四方ほどの部屋で、中には平たい箱が一つだけ置いてある。箱には蓋が被さっていて、蓋を開けると内部は仕切り板で3×4の小部屋に分けられている。小部屋は一つ一つ端切れが詰められた上で、それらの内7つの部屋に手のひらほどの大きさの黒い球体(ガルデラの火)が入っている。球体は容易に持ち運べる重量だが、もしこの洞窟の中で投擲しようとしたら【感覚:8】で嫌な予感がする。(もし強行したら爆発を起こして洞窟は崩落、更に他のガルデラの火が誘爆して大惨事となる)
ガルデラの火を持っていくことは可能。【理知:12】かクリストフが見ることで爆発条件は「強い衝撃(投げつけるか、荷物から落とす)」で、効果は「敵味方全体に100ダメージの属性攻撃」と、とても戦闘で使えるようなものではないと分かる。
奥の通路に向かおうとする、または左右の通路の先を調べた後に大広間に戻ると、奥の通路の先から「何やら聞き慣れない足音がするな。あぁん?」と粗野な男の声が聞こえてくる。
続けて通路の暗闇から[PC数+1]人の男たちが現れる。[PC数]人はこれまで倒してきたならず者達と似たような姿格好。それらを率いる1人は体格の差が歴然とした偉丈夫で、革鎧の代わりに爬虫類の皮をそのまま着込んだようなハイドアーマー(原始人や日本昔話の鬼が着ていそうなアレ)を薄汚れた衣服の上に纏っている。
「いけねぇなぁ、空き巣に入るなんて悪人のすることだぜ? ……ま、俺達ほどじゃねぇがなぁ!」
ガッハッハ、と笑う男達。よくよく見ると偉丈夫は絶望した表情の若い女性を、取り巻き達は初老の男性や大きな背負子などを担いでいる。彼らに捕まった旅の父娘……といったところだろう。
「……さて。それじゃあお仕置きの時間だ」
ひとしきり笑い終わると偉丈夫は様子を一変させ、肩に担いでいた“戦利品”(若い女性)を放り捨てる。抜き放った曲剣を構える立ち姿に隙はなく、眼光は鷹よりも鋭い。
取り巻き達も続くように“戦利品”から手を離し、腰の剣を抜く。
≪最終戦闘≫
“親分”バーナバス
ならず者×PC数
・ならず者2体は後衛エリア、“親分”バーナバスと3体目以降のならず者は前衛エリアに配置する。
・ならず者のステータス、弱点、行動パターン等は“下流の採掘場”で戦闘するならず者(A)準拠。
・“親分”バーナバスのステータスは以下の2つの内、PCのジョブレベル合計の平均(切り上げ)と等しいレベルのデータを使用する。
≪“親分”バーナバス Lv3≫
命中:8 回避:15 クリ:0
物攻:23/29 物防:16/8
属攻:22/28 属防:14/7
HP:120
速度:16 シールド:7
弱点:5(剣、斧、杖、雷、闇)
無効デバフ:なし
所持品:100リーフ
アビリティ:
1~3 <なぎ払い>
エリア(同)に物理攻撃。
4~6 <火薬攻撃>
単体に<火>の属性攻撃。命中判定の達成値に+2する。
特殊 <本気を出す>
HP80以下で使用。全体に物理攻撃。攻撃後、自身は[回避アップⅠ]となる。戦闘中1回。
特殊 <死に物狂い>
HP40以下で使用。単体(同)に物理攻撃を行い、更に単体に<火>の属性攻撃。攻撃後、自身は[回避アップⅡ]となる。戦闘中1回。
▼PC人数による調整
・PC人数が4人の場合
このエネミーの最大HPを180、シールド強度を10に変更する。また、<本気を出す>を「HP120以下で使用」、<死に物狂い>を「HP60以下で使用」に変更する。
・PC人数が2人の場合
このエネミーのシールド強度を5に、最大HPを100に変更する。また、<本気を出す>を「HP50以下で使用」に変更し、<死に物狂い>は使用しない。
≪“親分”バーナバス Lv4≫
命中:9 回避:16 クリ:0
物攻:26/34 物防:20/10
属攻:25/33 属防:18/9
HP:150
速度:17 シールド:8
弱点:5(剣、斧、杖、雷、闇)
無効デバフ:なし
所持品:200リーフ
アビリティ:
1~3 <なぎ払い>
エリア(同)に物理攻撃。
4~6 <火薬攻撃>
単体に<火>の属性攻撃。命中判定の達成値に+2する。
特殊 <本気を出す>
HP100以下で使用。全体に物理攻撃。攻撃後、自身は[回避アップⅠ]となる。戦闘中1回。
特殊 <死に物狂い>
HP50以下で使用。単体(同)に物理攻撃をし、更に単体に<火>の属性攻撃。攻撃後、自身は[回避アップⅡ]となる。戦闘中1回。
▼PC人数による調整
・PC人数が4人の場合
このエネミーの最大HPを200、シールド強度を10に変更する。また、<本気を出す>を「HP140以下で使用」、<死に物狂い>を「HP70以下で使用」、<死に物狂い>による物理攻撃の対象をエリア(同)に変更する。
・PC人数が2人の場合
このエネミーのシールド強度を5に、最大HPを120に変更する。また、<本気を出す>を「HP60以下で使用」に変更し、<死に物狂い>は使用しない。
※<守護のヴェール>を取得しているPCが存在しない場合、以下の修正とイベントを入れても良い。
・バーナバスの<火薬攻撃>に「ダメージ+3」を追加。
最初にバーナバスの属性攻撃がPCに命中し、算出されたダメージをPCの属防で引き算しているタイミングで、以下の戦闘イベントの描写を入れる。
〜戦闘イベント〜
バーナバスの攻撃がPCに命中する寸前、そのPCの体が淡く輝く光のヴェールに包まれ、[属防アップⅡ]になる。
改めてダメージを適用した後、
「間に合って良かった!」
と声がして、オフィーリアが現れる。
「彼らから『自分達は大丈夫だから皆さんに加勢を』とお声がけいただいたのです。
こんな事くらいしか出来ませんが、お手伝いします!」
以後、オフィーリアはターン開始時に「PC1人に[属防アップⅡ]を付与」、PC全員にかけ終わっていたら「杖で攻撃し、バーナバスのシールドを1個減少」する。
突然現れたオフィーリアに対し、バーナバスは
「ほぉ、こりゃイイ女だ。てめぇら! あの女は無傷で捕まえるぞ!」
と部下に指示するため、オフィーリアは敵の攻撃の対象にならない。
戦闘後、改めてならず者達の処遇をプレイヤーに問う。
トドメを刺す場合、アジトを抜ける際に彼らが貯め込んでいた財宝[2000*PC数]リーフ相当を発見。PCがその入手に抵抗があるようなら、オフィーリアから「もう誰のものかも分かりませんし、秩序の維持に貢献した皆さんへ、神からの下賜ということでもよろしいのではないでしょうか? 気になるのであれば、私から聖堂へ寄付しますが……」と声がかかる。
捕縛する場合、エンディング後に立ち寄った街で引き渡したとして、謝礼金[2000*PC数]リーフを貰える。
戦闘後、オフィーリアや行商人一家を連れ、お礼を言う父娘や他の人々と共に改めて奥の通路を抜けると、外に出る。エンディングへ。
★エンディング
アジトを出ると、そこから山道へ戻るにあたってこれ以上の障害はなく、一行は無事生還を果たす。
山道に戻ったところで行商人一家はPCとオフィーリアにお礼を言い、ウッドランド地方へ向かい去っていく。
オフィーリアは
「お世話になりました。皆さんが来られなかったら、どうなっていたことか……。
私はセントブリッジへ向かいます。皆さんの旅の無事をお祈りしていますね。
それでは、失礼します」
と、リバーランド地方へ向けて去っていく。
PC達の傍に助けた人々や捕縛したならず者がいるのなら、揃ってクオリークレストに向かうのだろう。幸い、昨日崖崩れで転落した場所より町の近くに出てこれたようで、日が暮れる前には着けそうだ。
★アフタープレイ
アフタープレイのルールに従ってセッションを終了。
バーナバスを倒し、オフィーリアや行商人一家とアジトを抜ければ、全てのPCは100点の経験点を得る。
報酬はバーナバス戦の後に得られる1人あたり2000リーフと、もしオープニングでオフィーリアや行商人一家と交渉していたら、その分の額が得られる。
★最後に
前作「少女の勇気、薬師の戦い」を複数の方に見ていただけたので、続きの話を作成してみました。
今回は今回で「ガルデラの火を作っている黒ずくめの集団」という問題を残させていただいたので、また続きを書くかもしれません。その時はよろしくお願いします。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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