第14話限界

 「ヒュペリオン」


ドゴーーーン


逃げる事も出来ないので咄嗟に自身に強化魔法をかけたとほぼ同時に殴りとばされ地面に倒れている自分がいた。


 「ガハッ」


気が付けば口の中が血で一杯になっていて立ち上がる事さえ出来ない状態だった。

たった一発の攻撃を貰っただけでコレだ、もし強化魔法をかけていなかったら既に死んでいたかもしれない。

そう考えると一瞬で恐怖が全身を支配するのがわかった。


 「オヤ、存外しぶといですね?今の一撃で仕留めたと思っていましたが…フム、少し興味がわいてきました。それでは存分に抗ってみなさい。」


目の前の存在はモルモットでも鑑賞するように楽しそうに笑っていた。


(ナンだよコレ。こんなのどうしようもないじゃないか?強くなったと浮かれていた罰なのか?それとも軽率な行動が悪かったのか?わからない。なんで僕はこんなところでこんな事になっているのか………)


 「ホラホラ、何もしないならこっちから行きますよ?」


ゲシッ グシャッ メキャッ


更に追撃を受けて(明らかに手を抜いた)ただでさえ動く事すら出来なかった身体が更にボロボロになりまさしくボロ雑巾の様に這いつくばっている僕がいた。


 「…何ですか?もう抵抗すらしないのですか?つまらないですね?それではもう殺してしまいますよ?…イヤ、ただ殺してしまうだけではつまらないですね?そうだ、ついでに君の家族や仲間も始末してあげましょう。私は優しいですからね、それなら死んだ後も寂しくないでしょう。」


その言葉を聞いた途端頭の中が真っ白になった気がした。


(…家族や仲間も?始末?なんで?僕が余計な事をしたから?そんなの、そんなの…)


 「認められる訳ないだろうが!!!」


そう叫びながら


 「ヘリオス」「ガイア」「クレイオス」「オケアノス」「トール」「ウラノス」「ハーデス」


ドォーーーーーーーーーーーーーーーーン


今現在持てる最強の攻撃を畳み掛けていく


 「……ハァハァ、ど、どうだ?」


辺り1面は何もない廃墟になっていたが


 「…フム、人間にしてはやりますね?しかし私は世界を支配する魔神の一角、この程度では倒せませんよ?」


そう言いながら魔神?と名乗った存在は大したダメージすらなくその場に立っていた。


 「…なんだよソレ?こんなのどうしろっていうんだよ?もうどうしようも……」


ほぼ無傷のその存在を視認した時心は折れ絶望が支配していた。


 「まあ人間にしては頑張りましたよ?ついでにさらなる絶望をあげましょう。貴方達の限界は闘級SSSといったところでしょうが我々魔神は最低でもSSSの更に上の闘級Z以上、その上にはEXという限界を超えた真の怪物が存在します。どう足掻いたところで人間如きに覆せるものではありません。さてそろそろ飽きてきましたし面倒なのでもう国ごと消してしまいますか?」


(…何ソレ?けどもうどうしようもないよね?そんな怪物誰の手にも負えないじゃないか?消す?国ごと?何の為に?僕のせいで?父上や母上、兄妹もカノンやクリスも?関係ない人達も?けど僕の力じゃあ…これが僕の限界………限界?もしかして今なら…駄女神貴方からの加護そしてソニア様貴方から授かった加護今こそ使わせていただきます。まだ自分には無理かもしれないけど今ここでコイツを止めないと何も護れない…だから)


 「僕は僕の限界を今ここで超えてコイツを倒してみせる!」

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