第13話ソコで出会ったナニカ
この森に来て初めてこんな開けた場所を目にした僕はレーダーによる警戒をしたままその場所を調べてみる事にした。
「何だここは?…あれは神殿か何かか?」
その場所に辿り着いてまず目に入ってきた物は古びた神殿の様な物だった。
「…こんな所に神殿?いや、それよりも大事な事はコレがレーダーに反応しなかったというか目の前にあるのに何の反応もないなんて…」
そうなのだ、大事な事は生物から無機質の物まで全て感知出来るレーダーが未だに何の反応もしないという事である。
その時の僕は好奇心よりも全く理解出来ないこの状況にただただ恐怖を感じていた。
そしてその恐怖の元凶と言えそうなモノが背後から突然話しかけてきたのだった。
「これはこれはなんと珍しい。ここまで所に人間がやって来れるとは思いませんでしたよ?」
背後から突然声をかけられ驚いてその場から飛び退き話しかけられた相手を確認すると其処にいたのは黒髪に紅い瞳をした黒い服に身を包んだ見た目は人の様な何かだった。
人ではないと感じた理由は気配が一切無くだがアリエナイ存在感を放っているコレがどうしても人とは思えなかったからだろう。
「……もしかしてこちらは貴方の所有される土地でしたのでしょうか?もしそうだとしたら勝手に入ってしまい申し訳ありませんでした。直ぐに立ち退きますのでご容赦いただけませんでしょうか?」
僕は本能的にコレには手も足もでない。戦いになったら間違いなく殺されると判断し出来る限り相手を刺激しない様にと話しかけていた。
「確かにこの場所は私の所有する土地ですが普通では辿り着く事が出来ないはずなのですが逆に尋ねたいのですがどうやってココに来たのでしょうか?」
黒髪の男?の言葉は丁寧な言葉遣いとは裏腹に凄まじい圧を含んでおりもしも相手の意にそぐわない返事をした時にはどうなるかが手に取る様にわかる様子だった。
「…僕のスキルで森を調べながら歩いていた際にこちらの場所を発見したので見に訪れました」
「なるほど、嘘は言ってない様子ですが何故人間の子供が1人でこんな場所に来ているのですか?本来ここは人間等が立ち入り出来る場所ではないはずですが?」
「…実は自身の修行の為この森に3年程籠もっていました。」
「なるほど、確かに人間としてはあり得ない力を有しているようですがまだまだこの森では力不足でしょう。それでこれからどうするつもりなのですか?」
「…出来ましたらココを離れた後は再度森の中で修行を続けていきたいと考えています。」
「…フム、残念ですがそれは不可能でしょう。」
「…それは何故かお伺いしてもよろしいでしょうか?」
最悪の展開を想像しながら僕は聞きたくない返事を待った。
「それはもちろん貴方が今、ココで死ぬからですよ?」
やはり考えていた最悪の答えを突き付けられながらも僕は藁をも掴む気持ちで最後の些細な抵抗を試みた。
「勝手に立ち入ってしまった事は大変申し訳なく思っておりますがすぐに立ち去りますのでご容赦いただけませんでしょうか?」
「何を言うかと思えば、ココに立ち入れるだけで放置出来ない存在をそのまま生きて返すはずがないでしょう。ココに辿り着いてしまった事を後悔しながら死んでいきなさい。」
そうして僕にとっては絶望でしかない一方的な蹂躙劇が開始されたのだった。
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