第7話そして婚約へ…
国王陛下に連れられて僕は騎士達が訓練を行う訓練場を訪れていた。
「陛下、態々この様な場所にお越しになるとは如何されましたでしょうか?」
訓練場に到着してすぐに1人の騎士が陛下の元に駆け付けて何事かと陛下に尋ねてきた。
「うん、実はねクリスには彼と模擬戦をしてもらいたいんだ。」
「ハッ、陛下の御命令とあらば喜んでお受けいたします。それで彼というのは?」
「もちろんここに居るクロードとだよ。」
そして陛下は騎士団長に僕を紹介した。すると
「陛下、如何に陛下の御命令とはいえこの者はまだ子供ではないですか?流石に模擬戦となると無傷という事は難しいと思いますが…」
「それは問題ないよ。クロードもそれで問題ないだろう?」
「はい、問題ありません。」
「なるほど子供とはいえ覚悟は出来ている様ですね。しかし私は模擬戦とはいえ戦いでは手は抜けませんよ?」
「はい、是非騎士団長の全力でお願いします」
「よく言いました。それではこちらへ。」
僕は別に戦闘狂でも何でもないが何故騎士団長に全力でとお願いしたかというと多少のケガはするかもしれないけど将来いきなり命をかけた勝負をするよりルールのある模擬戦で強い人と経験を積んでおいた方がいいと考えたからだ。
「それではこれより模擬戦を開始する。」
「アルカナ王国騎士団長クリスティーナ=ハイデンブルク参ります。」
(オッと、上品な人だとは思っていたけどこの人も貴族のようだな)
「クロード=フォン=アルカナです。宜しくお願いします。」
「それでは、始め!」
そして模擬戦は開始された。
「(まさかアルカナ公爵の子息とは思いませんでしたがこれは貴方が求めた勝負です。手加減はしませんよ?)行きますよ」
そう言うと同時にクリスさんは目にも留まらぬ早さで僕の背後に周り込み木剣を振り下ろしてきた
しかしその攻撃は空を切り既にその場に僕の姿はなくクリスさんは後ろからの衝撃で吹き飛ばされていた。
「キャア」
と、女性らしい悲鳴を上げながらクリスさんは弾き飛ばされながらもすぐに体勢を立て直していた
「…まさかこれ程とは思いませんでした、それでは今度は本気でいかせてもらいます。【戦乙女】」
クリスさんがそう言うとオーラを纏ったクリスさんが先程の数倍の早さで攻撃してきた。
しかし僕は今度はその攻撃を避けずに受け止めクリスさんの剣を弾き飛ばしそのまま寸止めで喉元に剣を突き立てていた。
「それまで、勝者クロード。」
そして陛下の声が訓練場に響き渡った。
「う、嘘だろ?まさかあの団長が…」
「ありえない…」
周りから色々な声があがっていたが
「…見つけた。……参りました。まさか私が手も足もでないとは思いませんでした。」
そう言ってクリスさんが手を差出してきたので
「いえ、こちらこそ騎士団長さんの動きがあまりに早かったので焦りました。」
そう言って差出された手を握り返した。
「それから私の事はクリスと呼んでほしい。」
「わかりました。クリスさん。今日はありがとうございました。」
「こ、こちらこそ今日は良い経験ができました。それに……」
???何故か顔を赤くしているクリスさんがいた
(あ〜、やっぱりこんな子供に負けた事が悔しかったんだろうな?あんなに顔を赤くして…)
「クリスもクロードもお疲れ様。それじゃあまだ話の続きがあるからクロードは僕と一緒に部屋に戻ろうか。」
そう陛下に言われ一緒に部屋に戻ると父上と先程は居なかった僕と同じ年頃の少女が待っていた。
「お疲れ様クロード。まさか本当にクリスに勝つとは思わなかったよ。闘級Aというのは凄いものだね。ああ、それと気になってるだろうから紹介しておくね。この子はカノン=フォン=アルカナ君と同い年の5歳の私の娘だよ。さあカノンも挨拶しなさい。」
「は、はじめまして、カノン=フォン=アルカナです。こ、これから宜しくお願いします。」
「はい、カノン様。こちらこそ宜しくお願いします。」
「く、クロード様。カノンと呼んで下さい。」
流石にソレはと答えようとすると陛下が
「そうだよ。2人は将来夫婦になるんだから名前ぐらいはちゃんと呼んであげてほしいな?」
(いや、名前ぐらいって?いや、それより夫婦?誰と誰が?)
「へ、陛下夫婦とはどういう…」
「もちろんクロードとカノンの事だよ。年も近いし先程の模擬戦を見てからカノンが君に見惚れてしまってね。」
「エッ、いや父上…」
「良かったね、クロード。カノンは美人だから将来が楽しみだね。」
(いや、何言ってんのこの人?今初めてあったばかりなのに良かったって何が?陛下までいきなり婚約って貴方の大事な娘さんですよ?)
「それでは「あ、あの、陛下」…まさかクロードは僕のカノンが気にいらないとでも?」
(見える、笑顔の陛下の後ろにドス黒いオーラが…こ、これは………)
「トンデモゴザイマセン、つ、謹んでお受けさせていただきます。」
「それではクロードと我が娘カノンとの婚約を決定する。」
そして僕は5歳にして婚約が決定した
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