第6話国王様との話し合い
「それではクロードと我が娘カノンとの婚約を決定する。」
「おめでとう、クロード。」
「…はい、ありがとうございます父上。」
(何でいきなりこんな事に……)
時は少し前に遡り
国王との謁見が回避不可能だと知った僕は全てを諦め父上と共に王都を目指していた。
「見てご覧あれが王都だよ、クロード。」
「凄い大きな都市ですね?一体どれ位の人が暮らしているのですか?」
「それはもちろんこの国で最大の都市だからね。人口は10万人を越えるはずだよ。」
(たしか家の領地の人口が5万人程だったはずだからその倍も人が居るのか…凄いな王都)
この国では小さい町では数百人から数千人、大きめの町でも1万人程の人口しかいないのでこれだけの人口が居るのは普通に凄い事である。人は色々なものを求めて生きている。ある人はお金であったりまたある人は愛情であったりとそれは人それぞれだが人口が多いという事はそれだけ人が望むものが沢山あるという事である。だからこそクロードは自身の父親や国王が治める領地の、そしてそれを執り行う人間の凄さに感度していた。
(父上達の凄さは理解していたけど国王もかなりの人物なのかもしれないな。よく考えてみればこの父上の兄なのだから当然といえば当然か)
そんな事を考えているうちに馬車は王都の入口に到着していた。
「これはアルカナ公爵様、ようこそ王都にお越し下さいました。それではこちらへどうぞ。」
そう門番の兵士に案内され僕達は門を通り抜け国王に会う為に王城に向かった。
「…ハァ〜」
「どうしたんだい?クロード。」
「いえ、これから国王様に会うと思うと気が重くて…」
「ハハ、そんなに心配しなくても今回は正式な謁見ではなく陛下の部屋で話し合いをするだけだから。」
「エッ、そうなのですか?」
(イヤ、その方が何か更に嫌な予感がするんですけど?面倒事が増える様な……)
「兄も気さくな人だからクロードも親族として気軽に接すればいいよ。」
「……前処します。」
(無理、絶対無理です。僕は元々人見知りって事はないけどいきなり王様とか無理過ぎる。…アッ、ソニア様には悪いけど今更ながらこんな状況を生み出した駄女神への新たな憤りが……)
そんな現実逃避もむなしく程なくして馬車は王城に辿り着いてしまった。
「これはこれはアルカナ公爵様。御無沙汰いたしております。クロード様ははじめましてになります、陛下の執事を務めさせていただいておりますアルフレッドと申します。すぐにお部屋に御案内いたします。こちらへどうぞ。」
そして執事さんに部屋に案内された。
(しかし何故セバスチャンさんにしろアルフレッドさんにしろ執事さんはあんなにダンディなの?出来る人の気配も半端ないんですけど?)
そんな意味の無い事を考えていると
「すまない、待たせたね。」
そう言って父上によく似た人が入ってきた
僕はすぐに立ち上がり
「はじめまして、国王陛下。ユイシス=フォン=アルカナが3男クロード=フォン=アルカナであります。」
「そんなに堅苦しくしなくても大丈夫だよ?本当に以前にユイシスから聞いていた性格とかなり違うようだね?成長?それとも儀式の影響なのかな?」
「いえ、兄上。どうやら儀式の当日にはもうこの様な性格になっていたので儀式は関係ないと思います。前日のケガのせいかもしれませんが親としては成長と思いたいところです。」
「確かに、子供はいきなり成長する事もあるからね。おっと、そういえば僕の紹介がまだだったね、ラインハルト=フォン=アルカナ一応この国の国王をやらせてもらっているよ。本当なら優秀なユイシスにやってもらいたいんだけどね。」
「兄上、その様な事は言わないで下さい。この国の王は貴方しかいないのですから。」
「……そうだね、悪かったねユイシス。ところで今回はクロードの事で話があるという事らしいけど何かあったのかい?」
それから父上は陛下に僕の授かったスキルや加護を得た事、女神様からの使命の事を説明した。
「………そんなスキルが存在するなんて……それに女神様の加護なんて今まで聞いた事もない…クロードステータスを見せてもらってもいいかい?」
「はい、もちろんです。ステータスオープン」
そして僕のステータスを確認した陛下が
「…半信半疑だったけど本当に女神様の加護が……クロード女神様からの使命というのは何だい?」
「はい、それはこの世界をより発展させる事です。」
「それは技術的な意味でかい?」
「いえ、技術はもちろん生活面等も含めて出来得る限りの全てとの事です。」
「…確かにもしそんな事が可能ならば民達の生活もより良いものになるね。ユイシス、クロードこの件は国が全面的にサポートするから必要な事は全て言ってほしい。」
その言葉を聞いてクロードはやはりこの人は父上の兄なのだなと、自分の事より人の事を考えられる素晴らしい統治者なのだと認識した。
「ありがとうございます、陛下。僕も出来得る限りの事はさせていただきたいと思います。」
「こちらこそありがとう。ところでクロードはまだ実戦経験も無いのに闘級がAなんだね?出来ればその実力を皆に見せてもらいたいんだけど」
「それはどのようにお見せすればよろしいのでしょうか?」
「何、簡単な事さ。この国の騎士団長と模擬戦をしてくれればいい。彼女は若くしてこの国の騎士団長になり既に闘級Bに達していてこの国最強の実力者だから十分クロードの相手になれると思うよ。」
(マジか?闘級Aの時点で有り得そうな気もしていたがいきなり最強の騎士団長と戦うのか?確かに既にアカシックレコードから戦闘方法は会得済みだけど大丈夫かな?というかそれより…)
「申し訳ありません、陛下。聞き間違いでなければ騎士団長は女性の方だと聞こえた気がするのですが…」
「そうだよ。彼女は間違いなくこの国最強の戦士だよ。」
「……なるほど、わかりました。それではいつ模擬戦を行えばよろしいでしょうか?」
「それじゃあ早速今からお願いしようかな?」
「わかりました。」
そして僕は最強の騎士団長と模擬戦を行う事になった。
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