第3話加護とスキル

 「それではこれまでの状況説明も終わりましたのでクロードさんのこれからについて話をさせていただいてよろしいでしょうか?」


ソニア様にそう問いかけられたので


 「あっ、ハイ。その前にどうして突然記憶が戻ったのでしょうか?」


そう言うとソニア様の顔が暗くなり


 「そう…ですね。その説明もさせていただきますね。本当は貴方はクロードではなく全くの別人に生まれ変わる予定だったのですが、あのバカが初期設定を森の中の捨て子にしようとしていまして…」


 「エッ、それってふ安全な森で狩人さんか何かに拾われる予定とかだったんでしょうか?」


 「……それが凶悪なモンスターばかりが生息する森の中でして……」


 「エェー?それどうやって生き抜く予定だったのでしょうか?」


 「それが…何も考えていなかったらしく加護とスキルがあるから大丈夫だろうと……」


あんの駄女神何しようとしてくれてたの?

アレ?じゃあなんで今はクロードとして記憶があるんだろうと考えていると


 「そうです。そのままではすぐに死んでしまうと気付いた私がその時死ぬ予定だったクロードの中に貴方の魂を移しかえたのです。」


 「エッ、いや本当のクロード君は死ぬ予定だったのですか?」


 「そうです。前日に頭を強く打った影響で朝には息をひきとる予定でした。」


 「けど両親達やメイドさん達もそんな様子はなかった気がしますが……」


 「それは担当した治癒師が適当に朝には目を覚ますから大丈夫と伝えていてそれを信じていたからでしょう。」


(エェー、公爵の息子の診断そんな適当でいいの?両親も人を疑わな過ぎじゃない?誰かに騙されたりしてないのかな?色々心配になってくる)


そんな事を考えているとソニア様が


 「普段はちゃんとしているので大丈夫ですよ。家族の事だけは別みたいですが…」


と、フォローなのかそうじゃないのかよくわからない事を言ってきた。


(イヤ、まあクロード君も可哀想だし両親も心配だけどそんな事よりソニア様が手助けしてくれてなかったら無理矢理連れ去られていきなり死んでた訳だよね?イヤ、本当にあの駄女神次に会えたら絶対ぶん殴ってやる)


 「そうですね。もし会えたらぶん殴って下さい。」


(あれ?口に出てたかな?いや、もしかしたら心の中読まれてるのか?)


 「そうですよ。心の中を読んでいます。」


やはり心を読まれていたようだ


 「それではこれから貴方が与えられた加護とスキルそしてやっていただきたい事をお伝えさせていただきます。」


 「そういえばそんな話をされていましたね?その前でもう十分にお腹一杯ですけど。」


 「確かに色々と申し訳ございませんでした。それでは本題の加護とスキルなのですが加護は【創造神の加護】、スキルは【創造】が与えられています。あんなバカですが一応この世界では創造神ですので加護とスキルは大変強力な物です。そしてお詫びとして私の【管理神の加護】と【全てを識る者】を贈らせていただきます。」


 「ちょっと待って下さい。加護もスキルも全てヤバそうな名前ばかりなんですが大丈夫なんでしょうか?記憶の中にある小説とかではこういった物はトンデモナイ物と相場が決まっていたような気がしますが…」


 「大丈夫ですよ?【創造神の加護】は全ての能力を限界まで成長させる事ができ【管理神の加護】はそれを限界突破して成長できる加護です。【創造】のスキルはその名のとおり全てを創造で創り出す能力です。【全てを識る者】は世界の全てを識る知識、所謂アカシックレコードです。」


 「やっぱりトンデモナくヤバい能力ばっかりじゃないですか?こんなヤバそうなの要らないですよ。」


 「申し訳ありませんが一度授けた加護やスキルは変更する事が出来ないのです。それにこれから貴方が生きていくグロアースと呼ばれる世界は地球より遥かに生命の軽い世界です。貴方がこれから大切に想う人達を護っていく為にもそしてやっていただきたい事の為にも必要になるチカラだと思います。」


 「………わかりました。大切な人達を護る為にこのチカラありがたく頂戴します。それで僕にやってほしい事とは何でしょうか?」


 「ありがとうございます。それでやっていただきたい事なのですがこの世界を発展させていただきたいのです。強いて言うなら貴方が居た地球のように。この世界には魔法があるので科学等は発展しなくとも問題ないのですが生活や食事その他の文化を発展させていただきたいのです。もちろん状況によっては危険も伴いますがこの世界を発展させる為に力を貸していただきたいのです。」


 「なるほどその為のアカシックレコードなのですね?わかりました。出来る限りの事はさせていただきます。あと1つ質問というか疑問があるのですがソニア様は地球の管理神のはずなのに何故この世界の事をそんなに心配されるのですか?」


 「その疑問は最もですがあの様なバカでも私達にとっては妹の様なものなのでつい手助けしてしまうのです。」


 「なるほどようやく理解出来ました。」

(僕にとっては駄女神だったけどソニア様達からすればそれでも大切な家族という事か。色々言いたい事もあるけどソニア様の顔に免じて駄女神って言うだけにしておくよ)


 「ありがとう。」


その言葉とともに僕の意識は途切れた。

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