三月十六日の今日、千佳とバトルを繰り広げる八十八歳の一兵卒。
大創 淳
第五回 お題は「88歳」……とある一兵卒のお話。
――シンデレラの魔法が解ける時刻。三月十六日が訪れた。
その時、スマホが鳴り響いた。知っている人。この日がお誕生日の人で、御年八十八を迎えたばかりの人……元気なお婆ちゃんが、僕に挑むための、そのための着信……
何をもって、僕に挑戦するのか?
それは起動する画面。画面狭しと、お久しぶりの℮スポーツ。
歳を重ねる毎に、増す機動力。通常なら衰えるのだけれども、三倍速となる。速い動きに美しき映像。画面の中で動くキャラ、ゲームキャラ。とても八十八歳になったとは思えない可愛いゲームキャラ。……オールレンジ攻撃を繰り広げる。所謂ビーム攻撃。
そのキャラは、可愛いJKの身形。それが頭部、胴体、両腕両脚と、五つのパーツに分離して、緑色に光るビームを放った。普通は躱せるのだけれど、この日は見事に必中。僕のゲームキャラが真っ二つとなった。その勝負は、ほんの一瞬で決まって瞬殺と。
そしてリベンジとなるのが……
夏の陣でもうお馴染みの、ウメチカ戦……
操るゲームキャラは、また元の姿に戻るこれまた可愛い女の子。一昔前の、僕のアバター。僕がこの人と戦って、もう何年になるのだろう? いや、もう何十年の世界。それ程の宿敵なのだ。初めは僕が圧倒していたのだけれども、今はもう、この人……
御年八十八になっても、生涯一兵卒の覚悟を持った人には敵わず、僕もまた目標とする人となる。その名はMさん。出会ってから何十年もの……五十年の歳月を数える。
そして、我が仰げば尊しの人。
このお話は、五十年後の未来を想定したお話なのだ。
そして再び、スマホは鳴る。またも着信……『
三月十六日の今日、千佳とバトルを繰り広げる八十八歳の一兵卒。 大創 淳 @jun-0824
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