友達に会いたい
【外出できるようになったけど、会えないよ】
私は長らく友達と会っていない。会いたい気持ちもあるし、行きたいところだってたくさんある。話したいこともたくさんある。それなのに、会っていない。会うことが出来ないのだ。
友達と連絡を取れないという先に、これは存在していた。連絡を取るのもままならないのに、会うなんてまた夢のような話だった。
私の場合、人混みが怖いというのも理由の一つにある。家族と買い物に行ったスーパーで、突然不安に襲われる。誰もいない陳列棚の間で、邪魔にならないようにじっとしていることもあった。
また、買い物をしようとした時、何を買えば良いのかわからなくなってパニックになることもあった。家族と行ったショッピングモール。時間がないからと別行動をすることになり、一人でお店に入った。いつも行っていたところで、買うものも決まっていたのに、突然汗が止まらなくなった。挙動不審になった私は、万引き犯に見えていないだろうかなど、周りの目が気になり出す。商品を手にしたまま、どうしようもなくなって、母に電話をした。結局その日は買うことをやめて、後日家族に着いてきてもらうことにした。情けなかった。怖かった。
こんな私は、常に家族と一緒にいることを決めた。家族と一緒にいると、いくらかこの症状が和らぐことに気が付いたのだ。少しの一人行動も出来なくなったのだと、そう思った。「あれ取ってくるね」と家族が押しているカートを離れて探しに行く。そんなことすら出来なくなった。
この状況を聞いて、誰が友達と会えると思うだろうか。もし友達と会った時にパニックになったら?
そう思うと、怖くて仕方なかった。それに、頭が働かない状態も同時進行で存在しているわけで。会話にも気を遣うし、自分のひとつひとつの言動がとても重いものに感じられる。「嫌な気持ちになってないかな」「楽しいだろうか」「失礼なことしてないかな」など、心配事が後を絶たない。友達と会えたことは嬉しくて楽しいはずなのに、最後に残るのは不安だけだ。そんなの、相手にも悪い。苦しい。
ちなみに、家族に対してもこの気持ちを持ってしまう。その度に家族に「大丈夫?」「ごめんね」などと声をかけてしまって、逆に心配させてしまった。家族にはどうしても甘えてしまうから、日々、申し訳なさと感謝が入り交じっている。
家族と外出しているときに友達に会ったら、「外出できるじゃん!」と思われるかもしれない。だけど私は、大好きなみんなに会えない。会いたいけど、今はまだ、会えないんだよ。ごめんね。
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