朝が来るのが怖い
【明日こそ...そんな気持ちに押しつぶされるから、今日を終わらせたくない】
夜。それは誰にも必ずやってくるものであり、多くの人が睡眠に向かう時間帯であろう。私もその1人だ。だけど私は、夜が怖い。何をすれば良いのかわからなくなって、どうしようもない孤独感に襲われる。
働いて帰ってきて、お風呂に入ってご飯を食べて。それから少しばかりの自由時間を過ごした後、布団に入る。みんななんとなくナイトルーティンを持っていて、なんとなく寝る時間が決まっていて。そうやって穏やかに、一日の終わりを過ごすのだと思っていた。
学生時代。寝ることが大好きな私は、当たり前に夜も大好きだった。好きなテレビを観たり、勉強をしたり。時間が足りないと感じるほどに、夜の自由時間を満喫していた。その流れが自然と睡眠へ移行して、深い眠りにつくこともできた。
だが今、夜は恐怖の対象になってしまった。
「明日こそ、早く起きれるだろうか。」「目が覚めたら、どんな一日が待っているのだろうか。」「体調は良いだろうか。」「明日こそ、こんな毎日から少しでも遠ざかることが出来ているだろうか。」
明日は、明日こそ、明日になったら...こんな具合に期待と不安が高まり、「明日」そのものを拒絶する感覚に支配される。夜が更け朝が近付くことへの、どうしようもない焦りと恐怖。それを誤魔化すための、夜更かし。それは悪循環を加速させていく。
夜寝るのが遅くなったり、夜の眠りが浅かったり。そうなると、翌朝スッキリと目覚めることは出来ない。そうして自己嫌悪が繰り返される。また起きれなかったと、自分を責める。日中眠くなって昼寝をしてしまえば、また夜眠れなくなる。こんな風に繰り返される睡眠の貸借が、いつの間にか取り返しのつかないことになっているのだ。
現に、この文章を書いているのは深夜2時過ぎである。最近は3時頃に寝ることが出来れば幸せな方になってきた。今日だって、特別用があってこんな時間になっている訳では無い。寝ようと思えば22時には寝られたはずだ。だが、それくらいの時間帯からの記憶があんまりない。きっとベッドの上でぼーっと過ぎていく時間を見ていたのだろうとは思うが、それが全て存在しない時間のように感じる。
そもそも眠れたところで、私の睡眠はかなり浅い。まぁ、その代わり泥のように眠るときもあるのだけれど、極端であまりに不健康だ。深い眠りは仮に良しとしたって、浅い眠りは良しとは出来ない。
数分おきに目が覚め、その度に夜の恐怖を再び感じ、必死に必死に眠りにつく。それを繰り返している間に、外が明るくなってくる。もうどうしようもなくなり、体を起こしてみる。「横になる」以外の眠る方法を探るため、壁に寄っかかって座ってみる。そうやって、寝落ちするときの感覚を体に味合わせる作戦。「うっかり」を意識して、机に項垂れてみたりもした。床に倒れて「体力の限界がきた人」を演じてみたりもした。
こうやって散々足掻き、行き着く先は結局ベッドだ。何をしたってダメなら横になろう、というごく自然な考えに戻る。眠れるようにと願い苦しみながら、目を閉じ続け、私は暗闇の世界にやっと溺れる。
ねぇ、孤独な夜が終わろうとしているよ。ブルーライトと戦っていないで、もう一度眠りにつく努力をしてみようよ。それで明日の朝、ちゃんと起きられるといいね。そうすれば少しは救われるでしょう?
頑張れ、私。とりあえず早く寝ろ。
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