2047年4月10日 わたしのじゆうはうばわれた
「あなたの日記だから、好きに書けばいいのよ。楽しみなさいな」
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ええ、叔母さま。おかげさまで、この歳になるまでずっと、楽しんでいることよ。時間はたっぷりあるし、今日はこの最初の1冊を読み返していこうかしらね。適当に数ページめくる。え、なにこれ。
そこには、絶望の言葉が並んでいた。
***
「2047年4月10日
ぷれすくーるにおためしでいって、おかあさまが、たのしい? ときいたのでたのしいとこたえたら、これからまいにちかようのだといわれた。
まいにち? わたしはきがついた。もうにどと、すくなくともおしごとをやめるおばあちゃんになるまで、ずっとおうちでじゆうにすごすことはできないんだ。わたしのじゆうはうばわれた。めのまえがまっくらになった」
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こうして日記を読み返すと、当時の絶望感が蘇ってくる。ほんの子どもだったけれど、あの絶望感は本物だった。子どもが何を言っている、って軽視することは、私は決してしない。この時の気持ちを、覚えているから。
でもって、今またこうして家で気楽に過ごしているわけだけれど。ここまであっという間だったように思うけれど。でも、あの頃は、すごく長い時間に思えたのよね。
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