第11話 死ぬ

彼女のところまでの距離はざっと300メートル。

もし能力者と遭遇しているなら、急がないとかなりまずい状況である。

横から飛んでくる鉛玉を躱しながら。

「おいエメラルド応答せよ」いくら声をかけても返事がない。

通信に夢中になっているうちに敵が目の前にきていた。アサルト持ちの雑魚兵だったが反応が遅れて、腹に一発食らってしまう。まずいと感じ、その場を横転して逃げる。つかさず逃げられないように、剣を鞘から抜き地面を蹴り距離を詰める。

とその時相手がにたっと口角が上がったのを見逃さなかった。

しまったそう思ったときには遅かった。

「お前はアサルト使いではなく、刀使いだったか。」

<ごめいとう。>刀は僕の腹を真っ二つにする勢いで、切っていった。

腹が文字通り、皮一枚で繋がった状態でその場に倒れ込む。

腹から大量の血が出て、意識が朦朧とする。

「そうか、お前が能力者か。その刀切れ過ぎだぜ、さすがに」

わかったところでどうしようもないかもしれないことを口にする。

<お前は、能力使いのくせに弱いな。能力はさしずめ、無能力か>

煽られているのがわかっても今はそれどころではない。

<あの女もそんなに強くなかった。殺しがいがなかった。>

そういって笑う顔をどうしても、消し飛ばしたい衝動に駆られる。

「エメラルドを殺したのか!!!」怒りのあまり、声が断末魔のようになってしまう。<殺したっていってんだろ>もう考えることができなくなった。

「もういいよ死ね」そういいうと僕は、手のひらサイズの太陽を空中で巨大化させた。「僕の能力は、たしかに無能力みたいなものさ。だけどなー本当に無能力なわけじゃねーんだよ。」僕が今出せる最大室力で相手に叩き込む。

<いいのかそんなことしたら仲間も死ぬぞ。>ああそんなことはわかっている。だから小規模ブラックホールを生成して、その中にお前を入れてその中でこの太陽を爆発させる。その場には爆発音すら聞こえず、ただ恐怖と絶望の空気が漂っていた。

体から大量の毛が生えてきて、意識が飛びそうになる。

死を覚悟したとき目の前にアンギネスがいた。

アンギネスの体からも血が大量に出ており、もう話す余裕はないように見えた。

<僕のタイムリープ能力を使います。時間などは設定不可能なので、丁度いい過去に戻れるように祈ってください。>

そういうと僕の頭に手を載せていった。

<時間的猶予はありません。手短に説明します。俺の能力は2つ。1つ目はタイムリープ、2つ目は譲渡です。だからあなたのタイムリープを渡すので、俺とエメラルドさん、そしてあなた自身を助けてください。>

そこからは過去の風景になっていた。

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生産型能力者 第一章 始まった戦争編 DC.MS.WM @Mousouzoku_Harukiti_01

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