第10話 いつか
願ったことのないやつは僕以外いないだろう。戦争がおわったらと、だがその夢が叶うことはなかった。国民ラジオで、日本に降伏はないと表明した。おわることがなくなった戦争はいったいどれだけの人間を巻き込み殺すつもりなのだろう。
夏のように来た戦争...けれど戦争は夏のようには去ってはくれなかった。
今日は、予兆もなく戦争は始まった。予想打にしない相手の攻撃に、こちらの軍の連携が崩壊し多くの人間が犠牲になった。絶望的な状況から、ギリギリで僕ら3人で持ちこたえた。持ちこたえたはいいものの、次軍が来たら流石に勝てないだろう。
そうなるとここの軍地も危ないので、生きているやつと最後の基地へと避難した。
避難する経路に敵が突っ込んできた。
<やべー、こっちにまで敵が来てやがる。どうするプラニウム(仮)>
プラニウムとは僕に仮でつけた名前だった。僕には名前をつけられた記憶がなく、お前じゃ可愛そうだとつけてくれた名前だ。
「この3人を殺しに来ているのだとしたら、ここから3人だけで遠くに行くぞ」
そうすればここにいる奴らは僕ら3人の犠牲で生きられるかもしれない。
<了解。>そういうと縄のように曲がる剣を向う側にある岩に巻き付けて移動する。
それに合わせるように、剣を鞘から抜き急いで追いかける。
エメラルドは僕達とは違う方向に行き、遠くからの援護をしてもらう。
剣を強く握り、相手の位置を素早く確認する。持っている武器は全般がアサルトライフルだが僕達が注意しているのは、伝説の剣の一つの持ち主だ。
相手の能力は愚か、相手の位置すらわからない。警戒しながら戦うのは相当な集中力が必要になる。位置すらわかれば現実はこんなもんだった。
「アンギネス能力者の位置はわかったか?」そう問いかけるとまずいといいこう続けた。<エメラルドの方にいるかも知れない。今連絡を取ろうとしたら取れない。>
となるとエメラルドはたしかに強いが、近接戦闘むきではない。
すぐにでも行きたいところだが、今はこっちもこっちでいっぱいだ。
しかもあっちに確実に能力者がいるなら、すぐにでも行く価値があるが。
<どうする、そっちに行くか?>そう聞かれると、すぐには答えられない。
私情を作戦に用いる戦隊長こそクソなものはないと言うが。そうわかっているとしても決断できない。そんな格闘をしていると悟ったかのようにアンギネスがいった。
<ここにいないんだったら、俺だけで大丈夫だ。行ってこい。>
なわけといいそうになって止める。こいつは自分が囮になるというのだ。
「わかった。死んでも死ぬなよ。」こいつが死んだら、心的にも嫌だしこいつの能力でのやり直しができない。そういって僕は彼女のほうへと向かった。
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