第5話 守る意味

ふと夢を見た。記憶にはないが、それは間違えなく僕の過去だった。

何かの檻のようなものに閉じ込められて、何かとひたすら戦っている夢。

その夢の僕は、とても苦しそうに何かと戦っていた。その何かは心なのか、他のなにかなのか僕にはわからないがその僕は多分戦いたくもない相手と戦っているのだとそう思った。いつも思うが寝るという行為はとても不思議だ。時間がありえないほどのスピードで進んでいるように感じる。気がついたら寝ていて、気がついたら起きている。こんな当たり前のことに対して疑問を抱いたのは初めてだった。

誰もが思っていると思われる願いに近い疑問戦争はいつになったら、終わるのか。

そんな疑問は抱いたことはなかったのに。誰もが願っても神が許さないのか、朝がくるように戦争は毎日のように始まる。今日は僕は昨日の腹の負傷によって、軍地で休んでいた。唯一の話し相手である彼女は、最前線に行ってしまったのでとても暇だった。久しぶりに剣を磨くことにした僕は剣を眺めていると、不意に涙がこみ上げてきて自分の腹を刺したい衝動に駆られる。剣をすぐに鞘に収めて床に置く。

その瞬間にさっきまで、見ていた夢を思い出した。あそこにいたのがもし本当に僕ならば、あそこには僕も知らない僕がそこにはいたことになる。

頭をフル回転させて考える。今までの出来事を思い出す。そうなるといくつか疑問がわいた。・なぜ僕は戦闘経験がないのに、戦えたのか。・どうして剣があるのに手に入れたときの記憶がないのか。思い出そうとしたが結局思い出せなかった。

結局その日の戦闘は僕にはなく、彼女も無傷で帰ってきた。

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