第3話 戦争
午後の戦争が始まった。もはや今、12さいのぼくにはこれが日常で平和の光景など見たことがなかったのである。僕は生まれた頃の記憶がないので、そこまでこの環境に苦を感じることはないが今戦っている30代の人達は平和の中にいた環境からの戦争だったから到底耐えきれるものではなかっただろう。そういう面ではこの時代に生まれたことには感謝している。目の前にアサルトライフルを持った奴がいるのを15メートル先の相手を補足する。引き金が引かれる前に剣を鞘から抜き、瞬発力を使って一気に距離を詰める。距離2メートルになった地点で剣を横に振り、首を正確に狙う。仮にも相手は軍人だ、最低限首を曲げてライフルを盾の代わりに出してくる。
ライフルの銃口を真っ二つに切り裂き体より後ろに剣の重心が行く。
その遠心力を利用して、もう一度切りに行く。さすがにこの明らかな動作に相手も気付いたのかその場に転がり受け身を取る。勝ち目がないと判断したのか、その場から逃げた。その場から僕は動かない、僕は人を殺したいと思っているわけではなかった。戦う気がないのであれば、見逃す。逃げている奴が後ろ見ていることに気がつく。はっと気づき後ろに思いっきり剣を振る。ぶしゃと人の肉が切れる音がする。
やはりそうだったか、奴は僕の気をひくための罠だったか。すぐさま後ろを向きながら受け身を取る。どうやら不意打ちがバレるとは思っていなかったのか、悔しがっている様子だった。僕が切ったのは腕だったぽくて片腕が真っ二つになって血が出ていた。今から包帯できつく縛れば生きる余地がある。ゆっくりと近づき、自分のポケットに入っていた包帯を相手に渡す。そしてその場を立ち去ろうとしたとき、相手が言った。[なぜお前は、政府を守る。なぜ戦争の元になった政府を守る]
自分をこんな環境に縛る現況をなぜ僕は守らなきゃいけないのか。それは自分にもわからなかった。その日はそれから変わったことはとくになく一日が終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます