第3話最後まで世話がやける
お昼頃になるとお腹がすいた那雪ちゃんをおぶって家に戻る
疲れた……子供ってなんでこんなに元気なんだろ?
そう思いながらLINEを見る
雪菜からはまだ何も来てない
どうしたんだろ?
いつものようにどこか行くにしても必ずLINEが入っていて
那雪ちゃんの状況とかも聞いていたのに
なんだろ?
少し心配になったけど
今日の元気そうな那雪ちゃんの写真を送った
お昼ご飯を食べてる時に那雪ちゃんはコロッケを食べながら私に聞いてきた
「沙友理さん、ママとパパ楽しいって言ってたー?」
そう聞かれると私はまたLINEを見てみる
既読ついてないや
でもここで本当のことを言っても意味が無いから
「楽しそうにやってるみたいだよ」
「えーーいいなーー」
「お土産いっぱい買ってきてくれるよ」
そう言って私はLINEを見ていると
ケータイの画面が切り替わりバイブ音がなる
画面には警察署と書かれていてその下には京都と書かれていた
京都…?警察署…?
何か事件に巻き込まれたのか
嫌な予感しかしなかった
恐る恐る電話に出てみる
「もしもし…?」
『もしもし、こちら京都警察署の者ですが』
「はい?」
『安達雪菜さんのご親族の渡瀬沙友理さんでよろしいですか?』
「はい」
私はこの時に那雪ちゃんに見られてはまずいと思って家の外に出た
「私に何か用ですか?」
『ええ、実はですね』
『安達雪菜さんが昨日、21時40分頃
旦那さんと一緒に遺体で発見されました』
「………え?」
雪菜と良太が……遺体で…?
その瞬間私は膝から崩れ落ちた
頭の中で整理が出来なかった
昨日の夜まではLINEは返ってきていたはず
一昨日までは……この家のドアの前にいたはず
その時に那雪ちゃんにしっかり礼儀を教えてたはず
そして何よりこの場所で手を振って京都に行ったはず
なんで………??
私は涙が止まらなかった
LINEが送られてこなかったのも既読がつかなかったのも
雪菜が死んじゃったからなの?
やだよ……
こんな別れ方……いやだよ!
警察の話によると
雪菜は夜の9時頃に良太と夜の京都の街を散歩していたらしい
その時に5歳くらいの男の子が大きな川の前で遊んでいたという
その時…男の子は滑って川から落ちそうになった所を雪菜は自分の身を投げて男の子を外側に突き飛ばして助けたという
良太は雪菜の手を取ったけど
そのまま良太も滑って大きな川に落ちて
2人とも頭を打ち、意識が無くなり川の流れで溺れて遺体となって発見されたという
京都に行ってまで子供を助けた雪菜
命を張ってお嫁さんを守ろうとした良太
2人らしいことしてるのに急に居なくなるのは違うでしょ……
那雪ちゃんになんて言えばいいの……?
ドアの前で私が泣き崩れていると
ゆっくりとドアが開いた
「沙友理さん?どうしたの?」
私が泣いている姿を那雪ちゃんに見られてしまった
それでも何も言わなかった
「ううん……何でもない」
何も言えなかった
幼い那雪ちゃんにこんなこと言っても……
考えないようにしようとしても
頭の中は雪菜と良太の顔が浮かんでくる
そうするとどんどん涙がこぼれてくる
「沙友理さん、お昼寝しよ」
でも那雪ちゃんは無邪気にそう言ってくれた
「うん…しよっか」
私も無理をして笑顔を作る
那雪ちゃんの笑顔を壊さないように
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます