43. ぼっち反省会

塩田えんださん…?」

 ぼんやりとグラスに顔を近付けていた。

 多分、現実逃避だと思う…。

 御苑みそのに「仕事」だからと一線を引かれたことで現実を見た。

 こんなオバサンに本気になるヒトなんていない…。

 いるワケない…。

 あぁ、今日もお酒がおいしいですっ!!

「店長、追加~」

 はいよぉ。と注がれる白い液体…。何…?

「コレ、何…?」

 首を傾げながら、においを嗅ぐ。

「甘酒」

 確かに、甘いにおいが…。

「俺でも飲めますか…?」

 ん…?

 おもむろに隣を見ると、さとうくんがいた。

「ほんのりアルコール入ってるよ…?」

 店長が答える前に、答えた。

「じゃあ、飲みます…」

 頼むのかと思えば、私が飲んでいたグラスに口を付けていた。

「無理…」

 ゲホゲホとむせながら、さとうくんはまだ飲もうとするのでグラスを両手で奪い取った。

「無理しちゃダメだよっ!!」

 さとうくん、抵抗するから…。

 い、息が上がった…。

「塩田、責任取れよ…」

 店長はそう言うと氷水の入ったグラスをさとうくんの前に差し出した。

「責任取ってくださいよ…?」

 さとうくんは氷を噛みながら、

「塩田さん、ツラそう…」

 誰のせいで息が上がったとお思いで…?

「さとうくんが甘酒返してくれないからでしょ…」

 息を整えようとしてグラスの甘酒をグイッと呑んだ。

「はぁ…」

 美味しい…。

「塩田さんって、したたかですよね…」

 微笑んで顔を近付けて来るので、

「女性は皆、したたかだよ…」

 距離感を保つため、気付かれないように少し体を反らす…。

「まぁ、そうですけどね…」

 腰に手を回されてしまった…。

「落ちますよ…?」

 確かに、さとうくんの手がなければバランスを崩して落ちそうだった…。

「ありがとう…」

「いえいえ、どういたしまして…」

 そう言うと、さとうくんはおかず数品と飲み物を注文した。

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