25. ふらっと。帰り道。

「はい…」

 ドコに入れたか…。

「待ってくださいねぇ…」

 ガサゴソしている間に、切れてしまった…。

「ま、いいか…」

 もうすぐ家だし…。

 気を取り直して、歩き始めると…。

「また…?」

 着信音が…。

 今度はちゃんと探そう…。あ、……あった。

「はい…」

汐里しおりさん…?』

 御苑みその、だった…。

「もうすぐ家に着くよぉー」

 あ、いかん。いかん。

 思わず、甘えた声が出てしまった。

『そうだったんですね…』

 よかった…。と安堵の声が聞こえた。

「うん。食べに行ってたからね…」

 そういえば、言わなかったな…。

「ごめんなさい…」

『何で、謝るんですか…?』

「連絡し忘れちゃったから…」

 本当、ごめんなさい。って、ぼんやり明るい夜道で頭を下げた。

『今日の汐里さん、可愛いから許します…』

 御苑が可愛く笑うので、

「御苑の方が、可愛い…」

 一番言ってはいけない言葉を言ってしまった…。

『可愛くな…、って、それは今、どうでもいいんですっ』

 今だけ、か…。

『汐里さん、夜道は危険ですから迎えに…』

「いや、本当にもうすぐ着くんだよ…」

 嘘じゃなくて、本当にもう玄関の前までたどり着いてしまった。

 とりあえず、鳴らす。

 ピンポーンッ。

「ね…?」

『汐里さんっ!!開けますからねっ』

 ドタドタと激しく走っているのだろうか、ちょっと足音が聞こえる。

 カチャッ。

「汐里さんっ!!」

 開いたと同時に、御苑が降って来た。

 は、激しい…。と思ったら、優しく御苑のぬくもりがあった。

「おかえりなさいっ」

「ただいま…」

 それから、家の中にちょっと冷ややかな目でこちらを見ている可愛いヒトがいた。

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