24. ふらっと。

「いらっしゃいませ」

 結局、そのままコンビニを出てしまい、行きつけの居酒屋へ来てしまった。

「ヒトリって、珍しいな…」

「そうですかね…?」

 とりあえず、ビールで。と言ってから、枝豆と…店長のオススメを何品か頼んだ。

「はい。ビール…」

 店長はニコッと笑って、

塩田えんだ、最近何かいいことあったのか…?」

「何もないよ。店長は…?」

「俺?…俺はいいんだよ…」

 あぁ、これは深酒しないと言わないヤツだな…。

「そう…」

 トコトン、聞こうじゃないか。

 瓶ビールを向けて、

「店長、グラスを持て」

「いや、今日はまだ早い…」

 断るなんて、珍しい…。

「あ、そうだ…」

 すっかり忘れてた。

「同居人と別れたよ」

「他にも、言うことあるんじゃないの…?」

 俯きながら調理して、

「もう男いるんだろ…?」

 顔を上げて、ニヤニヤとしている…。

「誰、情報…?」

 冷ややかな目で、言わなきゃどうなるかわかってんだろうなって顔した。

「さとうくん」

 すぐに白状した。

 そして、タコわさが出て来た。

「違うの…?」

「うん」

 あぁ、やっぱりこの鼻にくるのがいい…。

「いない。いなぁーい…」

 そして、ビール…。

 なんて幸せなんだろう…。

「じゃあ、さとうくんには彼氏いないって言っとくぞ…」

 ん…?

 ん…?

 お互い首を傾げた。

「塩田は、わかんなくていい…」

 ごめん。わかったから言うよ。

「コイビトは当分、作る気ない…」

 もう嫌なんだ…。

 誰かに振り回されて、泣いたり怒ったりするの…。

「男友達なら、いいんだ…?」

「いや、そういうワケではないよ…」

 枝豆を食べながら、

「いちみん、男女間の友情なんてないから」

 友情と割り切れば、理性で抑えられる。

 下心ありきだと思うのだ。

 ……そんなことを考えながら、店長の手さばきを見ていた。

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