19. おねだり。

「寒いです…」

 指が冷たくて。でも、

「手袋くらい着けなさいよ…」

 ポケットの中に手を突っ込んで、絶対、触らせはしない…。

汐里しおりさん…」

 ちょっと上目遣いで、お願いって…。

 か、可愛いんですけど…。

「ちょ、…ボク、傷付きますよ…」

 もう吹き出しそうで、御苑みそのから顔を逸らした。

「ご、ごめんっ…」

 可愛過ぎだよ…。

 これ以上、直視できない…。 

「私、コンビニ寄ってくよ…」

 これで、御苑と一緒に出勤しなくても…。

「じゃあ、ボクも…」

「何で…?」

 思わず、言ってしまった。

 御苑だってコンビニで買うモノくらいあるだろう…。

「今日は、汐里さんと…」

 顔が、真っ赤ですけど…。

「………ん?」

 全く該当することが思い当たらない。思い付かない。

「買い忘れそうだから買おうと思って…」

「そう…」

 そして、職場近くのコンビニに寄った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る