18. 可愛いヒト。
「運ぶの大変だったんですよ…?」
確かに、
「じゃあ、リビングでよかったのに…」
見た目は私より細いから、どう運んだのか気になるところではあるが…。
「行かないで…って言ったのは、
マジか…。
どれだけ、自分の感情に疎くなってるんだ…。
「酔ってない汐里さん運ぶのも悪くないなって思いました…」
御苑はニヤニヤ笑いながら、
「可愛かったな…」
「誰だって、無意識は可愛いって…」
御苑も可愛いよ。
言わないけど…。
「汐里さん…」
その熱い眼差しは、気のせいにする。
「はい」
何か…?と首を傾げる私に、
「ボクのこと、御苑って言うのやめませんか…?」
「じゃあ…」
御苑は食器を流し台へ運びながら、
「御苑くんもナシですからっ」
あら。
言おうと思ったのに…。
「では、御苑さん…」
御苑が言いたかったのは、下の名前で呼んでくださいって意味だったと思う。
あえて、言わないのは…。
「汐里さんっ…」
この反応…。
可愛く怒るこの反応が好きで、ついつい…。
「
食器を洗い始める御苑の後ろ姿に、可愛いって言うなオーラが出ている。
「か、可愛いって言わな…、あっ!!」
どうやら、気付いたようだ。
「もう一回、言ってくださいっ」
振り返る御苑に、
「可愛い…」
そう言って、私は洗面台へ向かう。
「そっちじゃありませんっ!!」
聞こえない…。聞こえないよぉー。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます