08. 何があっても、腹は減る。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 息切れしながら、自室へ入る。

 ぐぅー。

 ぐぅー…。

「ふっ…」

 カラダは正直で、思わず笑ってしまった。

「ははは…」

 怒りが収まったら、おなかがすいた。

「いただきます…」

 コンビニで買った惣菜を開けて、

「………はい。たった今、宿無しになりました塩田えんだです」

 タイミング良く、御苑みそのからの着信。

『塩田さん、今、ご飯ですか…?』

 そうだよ。と言って、食べながら話す。

「この後、片付けなきゃいけないし…」

 じゃあね。と言って、切りたかったのだが。

『出て行くのに、片付けるんですか…?』

「食器を割りに割ったので…」

『塩田さん、やりますねぇ…』

「やったりましたよっ」

 ははは。と笑い、

「後始末は礼儀ですよ…」

 同居人は、片付けるようなヒトではない。

『その片付け、終わったら…』

「………ん?」

 手から血が…。

 いつの間にか陶器の欠片がコンビニの袋の中に入ってしまっていたのか…。

 今度から気を付けねば。

 いや、反省はソコではないだろう…。

『どうかしましたか…?』

 ガサガサとボックスティッシュを探しながら、

「いや、何でもない。……終わったら、何…?」

 その続きを促しながら、血を止める。

 痛い…。

『迎えに行きます』

 電話、切れちゃったよ…。

「来なくていい…よ…」

 うーん…。

 何か泣けてきて…、泣きながらご飯を食べる。

 感情よ、治まれ。

 冷静な自分を取り戻しても、まだ溢れる涙は止まらない…。

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