02. ノーカウント。決定。
「ごめんなさい…」
一応、断る。
「そう、ですか…」
一応、同棲しているヒトがいる。
もうコイビトとは呼べないヒトだから、同居人かな…。
「でも、ありがとう…」
年齢が近ければ、絶対、この私好みの青年を離さないんだけど、さ…。
ちゃんと笑えてるかな…。
「
頬に触れる手が温かくて、
「ご、ごめん…」
触れられると甘えてしまうから、その手を拒否する。
「では、おじゃましました…」
この青年の未来を考えて、これっきりで。
うん。大丈夫。
「嫌だ…」
顔を上げて青年を見ると、顔を伏せている。
ここで立ち止まったら、戻れない気がしたので、
「じゃあ、ね…」
帰ろうと歩みを進めようとしたら、
「駄目だっ」
青年が私の腕を掴んで、
「まだ帰らないで…」
引き寄せるように抱きしめられて、嫌じゃないから持て余した手を青年の背中にギュッとした。
あぁ、ダメだ。
今、そういうことされると流されそうで…。
「そろそろ帰らないと…」
気付かれないように手を…カラダを徐々に離れて、玄関に。
「同居人が心配するから…」
嘘、だけど。
「同居人って…」
「男だよ」
面と向かって、キッパリ言う。
「大丈夫。同居人にはオンナがいるから」
浮気相手、だけど。
「お気になさらず、だよ…?」
暗い顔をしている青年の肩を叩き、
「じゃっ!!」
不自然な笑顔で、お別れした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます