00. ノーカウント。

 眩しいくらい明るくて、

 ドキドキする心臓の音が聞こえるくらい近くて、

「どうしたの…?」

 目の前には、可愛げの残る青年がいる。

 私好みの殿方…。

「おはよう…」

 青年に見覚えはある。

 確かよく見かける…。ドコかで。ドコだったかなぁ…。

「おはようございます…」

 俯き、考える。

 でも、この状況でとても思い出すことが出来ない。

「何もしてませんよ…?」

 そう言われましても、お互い全裸なのは気のせいでしょうか…?

 いや、気のせいではない。

「そう…」

 この布団に見覚えもない。

 この部屋にも見覚えがない。

「う、嘘ですっ!!」

 青年と距離を取り、ベッドから降りようとしたら、

「………ですよねぇ」

 青年との距離感が変わらない。

 むしろ落ちかけた私を救い上げる形で、元の位置に戻る。

「俺のこと…嫌いですか…?」

 好きも嫌いも…、憶えてない。

「うーん…」

 俯いて、悩む。

 本当にその内容を憶えてないので、これはノーカウントにしたい…。

「す、すみませんでしたっ!!」

 謝って許される問題ではないです、よね…?

「……えぇっ?!」

 驚かれますよねぇ…。

 本当、ごめんなさい…。

「あ、謝らないでくださいっ…」

 俺の方こそごめんなさい…。と逆に謝られる。何故…?

「いやいや、私の方こそ…」

「違うんです。本当…俺が悪いんです…」

 謝りエンドレスな状況に、顔を合わせて。

「ふふふ…」

「ふ、はははっ」

 二人して吹き出してしまった。

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