第2話 夏休み
それからのボクには、学校で二つの楽しみが出来た。
一つは青山さんの顔を見る事。
二つ目は彼女と会話が出来る、という事。特にアニメの話ができる事だ。
青山さんは自分の知らない作品の話をしても、関心を持ってくれて、ボクが熱心に話している間もニコニコしながら聞いてくれる。そんな彼女の笑顔を見ているだけで、毎日が楽しくて仕方なかった。
暗くてつまらない先生の話なんていらない。
明るくて楽しい彼女と会話する為だけに学校に来ているのだ
期末テストが終わり、ボクらは「受験」という現実に向かい合い始める事になる。
いとこと一緒に有名予備校の夏期講習を受ける事になっていたボクにある日、奇跡が起きる。
それは、青山さんからの提案だった。
「このメンバーで、夏休み中どっか行かない?」
胸が高鳴った!
あれこれとアイデアが出るが、所詮は中学生。「遊園地がいい〜。」と、あっさり決定。
日程も決まり、その日からボクはアレコレと想像した。
何に乗ろう。やっぱジェットコースター?
あそこだとマジで出るって噂のお化け屋敷も良いかなぁ、ってボクがダメだ、などなど。
毎日ワクワクが止まらなかった。
しかし悲劇が起きる。
当日、ボクは熱を出してしまい、行けなかった。
たった一日で熱は下がった。しかし、ボクにとっての大事な一日もまた消えてしまった。
悔しい。
悔しい悔しい悔しい悔しい!
「…夏休み。早く終わらないかな。」
こんな事を思ったのは、この時が最初で最期。この時のボクは、ただ青山さんに会いたかった。
大好きな彼女に会いたかった。
予備校と家の往復、学校の宿題で夏休みの大半を消化し、一日終わる度に青山さんに会える日が近づく。
その想いだけを支えにしてボクは夏休みを過ごしていた。
そして長い夏休みが終わり、学校は始まったが、何故かみんなの空気が少し重かった。
何か変だ。やっぱり遊びに行けなかった事が原因か。
そうも考えた。ただ、改めてみんなに謝った時には逆に慰めてくれた。なのに何かギクシャクしている感じだった。
そして「事件」が起きた。
とある「女子」から呼び出だされたのだ。
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