第2話

 昨日の夜は救急車の音がうるさかったな。どうしたんだろう。

 そんなことを考えながら高校への道を歩く。教室の自分の席へ向かうと既に席に着いていた男子が声をかけてくる。

「おはよう」

「おはよう、今日も早いね」

 僕も返事を返した。友達の井田恩陽だ。

「なんか昨日の救急車の音が耳に残ってて。夢見が悪くて目が覚めちゃってさ」

「確かにうるさかったね」

 周りもそんな話ばかりしていた。しかも中には、「警察も見た」とか「学校の方に行ってた」なんて言ってるやつもいる。

 ほんと、なんなんだろうな。そう言えば、もう一人の友達がなかなか来ない。どうしたんだろう。

 …あ、担任が入ってきた。

「起立、礼っ」「「「おはようございます」」」委員長の号令に合わせてあいさつをする。

「おはよう。今日は話すことが多い。急ぐぞ。まず、このクラスに転校生がきた。名前は…自己紹介は自分でしてもらうか。入って来い」

 変な時期の転校生だな。先生の呼びかけでその人が入ってくる。身長の高い男子だ。

「思原視音だ。少し慣れないところもあると思うが宜しく願いたい」

 少し傲岸な話し方をするやつだな。でも、それに不快さは感じない。その佇まいにマッチしていると言えばいいのか。

 

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