第11話


その前に、みんなが食べてるの見たらお腹空いちゃったからご飯タイムにする!

魂君を探すのはその後で。



「いただきまーーす!」

「おい。」

「んぅいひぃーー!やっぱり久しぶりに食べるハンバーグは最高だね!」

「聞こえてるか!?」



魂君が自分から戻って来てくれた!


でもちょっと今はご飯中だから話しかけないでほしい。

私服のハンバーグタイムなのに…。



「聞こえてないのか?」



しつこいなー。

なにお腹減ってるの?



「聞こえてるよ?」

「無視するなよ。」

「だって、ご飯中だもん。」

「わかったよ、食べ終わったら教えろ。」

「わかった。」

「なー、俺の分は?」

「しょうがないなー。勝手にどこかに行っちゃった人にはって思ったけど、優しい天使なのであげます。」

「しょうがないって、正論だし…。はいはい優しい天使さんありがとうございます。」

「どういたしまして。」



ぶつぶつ言いながらも隣に座って一緒に食べてくれるあたり優しいよね。

生前はさぞモテただろうな…。

だめだめ、そんな事考えちゃ!!!

霊性を保つんだ私。



「そ、そういえば、出ていった後は何をしていたんですか?」

「いろいろ。」

「話したくないならいいですけど、具体的には?」

「具体的には元自分の部屋を以外を見に行ってた。」



自分の部屋以外ってことは、まだあの部屋を見てないんだ…。



「…どうでした?」

「そのままだった。」

「そのままというと?」

「俺が生きている時そのままだった。廊下に飾ってある写真もそのままだった。」

「そうだったんですね。」

「はぁーあ、俺ってみんなといるときはあんなに笑えてたんだな、とか思った。」



確かに部屋の写真に写ってる魂君は今まで見たことのないぐらいの笑顔だった。

まだ魂君が亡くなってから1か月たってないからね。



「なぁ、俺一人じゃいけなかった自分の部屋に行きたいんだけど、一緒に行ってくれるか…?」

「もちろんです。」

「ありがとう。」



ご飯を食べ終わると、魂君から部屋に今行きたいとの要望で向かってる。


さっき来たときは気づかなかったけど、廊下にはイベントごとの写真が飾られていた。

もちろん魂君の写っているものもあって、見たことのない笑顔がいっぱいだった。

私にもこの笑顔向けてくれたらいいのにな、なんてね。



「ここだ。」

「大丈夫ですか?」



部屋を見つめて固まってるし、握りこぶしになっている手は微かに震えてる。

そりゃ、この先にあるのが自分の住んでいた部屋だもんね。

何もないかもしれないし、まだ残っているかもしれない。

私だったら気持ちが複雑になって怖いと思う。



「大丈夫だ。前に進まないと。」




そういって彼は部屋の扉をすり抜けていった。







-つづく-








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