第8話
「—それでさ、そいつらは俺の弟みたいなもんなんだけどさ、毎日のようにプロレスごっこしててよく飽きないよなって。」
「毎日プロレスしてるんですか?家の中すごいことになりそうですね…。」
あれから行こうと言って孤児院に向かっている最中彼はずっと話続けてる。
孤児院にいた弟や妹みたいな存在の子達の事、その子達との思い出をずっと。
たぶん緊張を紛らわせようとしているんだろうな、とか思うけど、なんて声を掛けたらいいかわからなくてずっと話に付き合うしかできない。
こういう時声をかけてあげられたらいいんだけどね。
「…あれだ。」
少し先には立派な建物がそびえたっていた。
一棟立てで、小さいながらも雰囲気は学校のようにも見える。
窓枠とか、外観とか…
生きてたら学校もちょっとは行ってみたかったな。
「立派な建物ですね。」
「まぁな。もともと学校だった建物だしな。」
「やっぱりそうなんですね。」
「体育館もある。中はリフォームされてて学校感はほぼないけどな。」
「中を見るのが楽しみです!」
「そんな面白いもんはねぇよ。」
「それでも初めて見る者は楽しみじゃないですか!!」
「わかったから、騒ぐなって。」
「どこから入りますか?窓からこんにちわーとかどうです?」
「普通に玄関からにさせてくれ。」
「もう、遊び心がないなー。」
子どもの一人が玄関から中に入るのと同時に入る。
別に見えないし透過するから問題ないんだけど、まだ人間の時の間隔で嫌なんだって。
中に入ってみると学校によくあるような下駄箱のおしゃれ版が置いてあって、さらに奥に進むとよく日本にある洋間が広がっていた。
元が学校だとは思えないようなデザインで、孤児院とも思えない内装。
「ここはまだ広間で、この先にみんなで飯を食べる講堂のような場所がある。教室は子供の部屋になってるんだ。4人1部屋つううかクラス?」
「1クラス分だとかなり広くないですか?」
「いや、昔の校舎だから思っているより狭いと思うぞ。ほら。」
「ほんとだ…。」
私の想像していたクラスの3分の2ぐらいの大きさだった。
4人分のベットに勉強机、洋服ダンスそれだけで部屋がいっぱいだった。
学校の名残と言えば、黒板があってそこに1週間の予定が1人ずつ分けて書いてあった。
「懐かしいな。週間予定か。あ、そろそろ飯の時間だ。」
「なんでわかるんですか?」
「鐘が鳴ってるだろ。それが合図だ。」
「この結婚式とかでなるような鐘ですね!」
「ふっ、まぁ、そうだな。」
「じゃあ、講堂に行きましょう。」
「あぁ。」
ついに院長と会うんだ…。
夕ご飯の時は絶対に顔を出して一緒にご飯を食べるって言ってたから、講堂に行ったらついに…。
もう!!私が緊張してどうする!?
しっかりするんだ私!!
何事もないように私は見守るだけなんだから。
-つづく-
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