第6話
本当にどこにいるんだよーーーーーーーー!!!
1時間ぐらい探したけどどこにいるか分からないんですけど!?
知らない間にいつもの公園に来ちゃったし。
「どこに行ったのさーーーーーーーーー!!!!」
「まじか…。」
「え!?」
「またかよ。」
私の乗っている土管の下から彼の声がした。
なんか前もこんなことあった気がするけど、とりあえず消えてなくて良かった!
「ここにいたんですね!よか゛った゛ー!!うぇーん!!!心配したんですよぉ。」
「おい、なんで突然泣いてるんだよ。」
「だって、だって、消えちゃうって聞いたから心配で…。」
「聞いたって、知ってたわけじゃないのかよ。確かに若干透過してたけどさ。」
「え!?嘘!?今はもう平気ですか?大丈夫ですか?」
「大丈夫だって、しつこい。てかいつまで抱き着いてるんだよ。離れろ。」
「あ、ごめんなさい。」
つい会えたことが嬉しくて涙出てきたし、抱き着いちゃった…。
彼もちゃんと抱えてくれたからそこまで嫌がってなかったって思っていいよね。
って、だめだめ!何考えてるの!?
私は天使だから、そんな…会えて嬉しいとか、抱えてくれたとかそんなこと考えちゃダメ…。
魂みんなに平等じゃないと、不公平だから…。
でも彼は何か違う。
嫌だって言いながらいつも一緒に寝てくれたし、今も飛びついたら抱えてくれた。
そういう優しいところが―
“好き”
私は魂君のことが好きなんだ。
でもこれは一番思っちゃいけない感情だけど…。
気づいちゃったからには49日が終わるまでは絶対に感づかれちゃいけないし、口にも出さないようにしないと。
彼が転生できなくなるし、私は堕天使しちゃう。
それだけは何としても阻止しないと。
「…!…おい!」
「へ?」
「今の聞いてたか?」
「全く。」
「まいいや、もう一回話す。」
「ごめんなさい。」
「明日、孤児院に行こうと思う。」
「ずいぶんといきなりですね。」
あんなに行くのを嫌がっていたのに、突然気が変わったのかな?それとも無理してる?
彼が心からって訳じゃなくても行きたいというならついていくけど、そうじゃないならまだ時間はあるしゆっくりでいいと思う。
前の魂は無理に行って泣きながらクリアしてたし、彼のそんな姿は見たくない。
「無理してませんか?」
「!!」
「無理をして行くぐらいなら、まだ行かなくていいと思います。」
「あんなに行かせたがってたのに、なんでだ?」
「ちゃんと考えたら、いい思い出がない場所に無理していくのは良くないかな、と思っただけです。」
「ふはっ、今まであんなにぐいぐい連れていくとか言ってたやつが今更。」
「それは!…ごもっともです。」
「別に、無理はしてねぇよ。ただ、今までさんざん言ったけどそんなに嫌なところでもなかったかな、とか思ったから行ってみようって言っただけだし。」
「わかりました。そしたら明日行きましょう。」
「あぁ。」
私たちの出会った公園の土管の中で今日は寝ることにした。
公園の遊具が雨もしのげるし、寒さは毛布とか出せば最高の仮家になる。
天使って意外と便利でしょ?一家に一人如何ですか~、なんてね。
でも改めて再会できて本当に良かった。
離れることになった原因は私なんだけどね…。
私が天使になった理由か。
「あの、まだ起きてますか?」
「…。」
「…起きてなくても起きててもいいのでそのまま聞いててください。」
多分もぞもぞ布団が動いてるから起きてるのかな。
本当に寝てたら明日話すときの予行練習にしよう。
-つづく-
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